破れにくい紙の種類や特徴は?おすすめの破れにくい紙も解説
破れにくい紙なら、合成紙がおすすめです。一般的な紙と比べて、合成紙は機械的強度が高く、水濡れや油汚れにも強いという特性があります。屋外で長期間使用できる点も、合成紙のメリットです。この記事では、破れにくく耐久性の高い合成紙「ユポ」について解説します。破れにくい紙を選ぶ際に、ぜひ参考にしてください。

破れにくい紙なら合成紙がおすすめ
破れにくい紙を選ぶなら、合成紙がおすすめです。 ここでは、合成紙をおすすめする理由について解説します。
合成紙とは
合成紙とは、合成樹脂を使った紙の一種です。 一般の紙(天然紙)とプラスチックフィルムを組み合わせたものを、合成紙と呼ぶ場合もあります。合成紙は外観、不透明性や印刷性などにおいて、一般の紙と同様の特性を備えています。また、プラスチックフィルムの特性も兼ね備えており、一般の紙と比べて強度や耐水性などに優れている点が特徴的です。
理由1. 耐久性に優れている
合成紙の主原料は合成樹脂(プラスチック)で、耐久性に優れています。合成紙はプラスチックフィルムのように、引っ張りなどに対する機械的強度が高いため、簡単には破れません。一方で合成紙は、カッターやはさみなどの刃物類を使えば、容易に切断できます。
合成紙は合成樹脂と同じく、化学的に安定した耐久性をもち、劣化しにくいという特徴があります。
合成紙には、天然紙の耐久性を改善するために、天然紙とプラスチックフィルムを組み合わせたものもあります。
理由2. 耐水性に優れている
合成紙は水を吸収しないものがほとんどで、ラミネート加工をせずとも、水に濡れてもインクの滲みやフヤケによる変形は起きません。合成紙の用途は幅広く、水中で使えるメモ用紙やスキーリフト券、屋外メモ帳、ゴルフスコアカード、イベントのリストバンド 、飲料ラベル、選挙ポスターなどにも使われています。
理由3. 発色性に優れている
合成紙は、天然紙と比べて表面の平滑性が高い点が特徴です。そのためインキの発色がよく、高精細な印刷ができ、印刷の再現性が高い傾向にあります。代表的な合成紙である「ユポ」は、層内部にある多数のミクロン単位の空孔が光を乱反射させます。そのため、ユポは白色性や不透明性、印刷の発色性に優れており、鮮明な印刷をすることが可能です。
破れにくい紙「ユポ」とは?
ユポはユポ・コーポレーションが独自に開発し、製造する合成紙のひとつです。合成紙「ユポ」は内部に微細な空孔があり、外観が天然紙によく似ています。また、プラスチックフィルムと同様に、耐水性、強度や耐久性などにも優れています。
ユポは、合成樹脂のポリプロピレンを主原料に 、ユポ・コーポレーションがもつ独自の製法で作られています。同社は世界各国でユポについての特許や登録商標を多数取得しています。
ユポには、油性ペン以外に、水性ペンや絵具、鉛筆で筆記できるものもあります。水性絵具をほとんど吸収しませんが、絵具の乗りや伸びがよく、絵画用の画材(支持体)としての需要があります。
ユポのメリット
ユポは、軽くて丈夫なだけでなく、さまざまな特徴があります。ここでは、ユポのメリットについて解説します。
軽い
ユポは「ミクロボイド」という微細な空孔が内部に多数あります。そのため同じ厚みのコート紙に比べて3分の2の重さで、水に浮く軽さが特徴です。ユポを使用すると、印刷物や使用製品などの軽量化ができます。
油や薬品に強い
ユポはポリプロピレン樹脂 を主成分としており、一般の紙よりも油や薬品に強い点が特徴です。また、酸やアルカリ、有機溶剤などにも耐性があり、汚れても物性の変化や劣化がしにくい傾向にあります。そのため、ユポは油や薬品を含む容器のパッケージやラベルに適しています。
安全性が高い
ユポの原紙は、食品衛生法のポジティブリスト(令和2年4月28日公布の別表第一) に収載された原料のみで製造されています。原紙の製造は、ISO9001及びISO14001の認証工場で行われています。原料や製造工程において、法で規制される有害物質や環境汚染物質などを使用していません。
ユポの主な原料であるポリプロピレンは、炭素と水素から構成されており、適切に焼却すれば有害物質が発生しないため安全です。
丈夫
ユポはその耐水性から屋外や水回り、結露しやすい場所でも使用できます。またユポは耐久性が高い特徴があり、一般の紙と比べて長期間の使用が可能です。
リサイクル可能
ユポはプラスチック素材で作られており、再生樹脂の原料としてリサイクルできます。
環境に配慮した製品をラインナップ
植物由来のバイオマスプラスチックを配合し、化石燃料由来のCO₂の排出量の削減に貢献する「ユポグリーンシリーズ」をラインナップしています。また、ユポは内部に多数の空孔(ミクロボイド)を含み、一般的なPPフィルムよりも樹脂量を約45%削減が可能です。※0.3mm厚のユポと同じ厚みのPPフィルムを比較した場合(原料ベース)。CO₂排出量やプラスチック使用量削減効果は、厚みにより異なる場合があります。
ユポのデメリット
ユポは高性能である反面、デメリットもあります。ここでは、ユポのデメリットについて解説します。
印刷の乾きが遅くなりやすい
ユポは一般の紙と同じように印刷が可能です。ただし、一般の紙よりも印刷インキの乾燥に時間がかかる傾向がありますが、「スーパーユポダブル」は、一般の紙と同じように紙用のインキで両面印刷ができて、インキの乾燥性も改善されています。
高温に弱い
ユポは極端な高温に対して弱い特徴があります。レーザープリンターで高い熱を加えて印刷すると、ユポが収縮など変形をする可能性があります。ただし、一部のレーザープリンター(プロダクションプリンター)には、ユポに印刷可能な機種が存在します。また、折りや製本などで熱を加える加工をする際も、一般の紙とは条件が異なる場合があります。
単価が高い
ユポは一般の紙よりも高価であるため、コストがかかる傾向にあります。しかし、ユポは一般の紙よりも耐久性が高く、長持ちします。また、ユポは耐水性も高く、ラミネートのような後加工を施さなくても屋外や水回りで使用できるという優れた特徴があります。用紙を使用する場合、目的や用途、費用対効果に応じて選定することが必要です。
ユポの活用例
合成紙「ユポ」は幅広い用途に使用できます。ここでは、ユポの活用例を解説します。
ポスター・POP
ユポを使ったポスターは耐久性や耐水性が高く、風雨にさらされる環境下でも破れにくいため、選挙ポスターなどによく使用されています。また印刷の仕上がりがよく、鮮やかな色彩や質感を表現できるのが特徴です。そのため、商品や駅構内・バス停などの広告ポスターや、店舗用のPOP広告などにも適しています。
環境に配慮したい製品
ユポは、一般的なPPフィルムなどと比べて環境負荷を削減可能な素材であることから、学習塾や建設会社のポスター、大手百貨店のギフトカードにも採用されています。自社のCSRや社会貢献への取り組みにも活用できます。
容器・食品用のラベル
ユポは油分や薬品にも耐性があるため、さまざまな内容物の容器用ラベルとして使用が可能です。例えば、エンジンオイルや工業用オイルの容器用ラベル、ハンドソープやシャンプーなどの容器用ラベル、さらには冷酒や地ビールのラベルなどへの採用例があります。
その他、ユポの耐水性を活かし、結露が生じやすい冷凍・冷蔵食品のラベルとしても活用されています。
飲食店のメニュー
ユポは飲食店のメニューにも使われています。ユポは水や油を殆ど吸収しないため、そのメニューに飲食物がかかっても、容易に汚れを落とせるためです。同様の理由で、ユポは汚れの多い作業場のマニュアルにも適しています。
ユポはアルコールにも強く、消毒用のアルコールスプレーを使用した清拭でも強度が低下しにくいという特徴があります。ただし、印刷インキはアルコールで脱落することがあるため、注意が必要です。
そのほかの破れにくく丈夫な紙を紹介
ユポの破れにくく丈夫な点は、使用用途によっては非常に便利な機能です。
一方で、ユポ以外にも破れにくく丈夫な紙はあります。
ここでは、ユポ以外の破れにくく丈夫な紙を紹介します。
薄くて丈夫な「土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし)」
楮(こうぞ)や三椏(みつまた)などの樹皮を使い、手漉きで作られる和紙は、破れにくく丈夫なことが特徴です。
和紙は、一般的な洋紙と比べて繊維の長い材料を使用し、手漉き技術によって繊維の絡まりを複雑にするため、高い強度を持ちます。また、水に濡れても破れにくいことや、表面がボロボロになりにくいことも、洋紙にはない和紙のよさです。
和紙のひとつである「土佐典具帖紙」は、厚さ0.02mmの薄さでありながら、タイプライターで使えるほどの強靭さを持つ紙として知られています。
紙を破れにくくする方法
筆記された情報が消えてしまうことを防ぐために、紙が破れにくくなる工夫をすることも大切です。ここでは、紙を破れにくくする方法を紹介します。
防水加工をする
水に濡れて破れやすくなることを防ぐためには、防水加工が有効です。防水加工には、耐水補修テープを貼ったり、防水スプレーを吹き付けたりする方法があります。
耐水補修テープはさまざまなサイズがあり、防水したい紙の大きさに合わせた使用が可能です。テープ同士を貼り合わせた隙間から水が染み込む可能性もあるため、隙間がないように貼り付けることが重要です。
防水スプレーは、吹き付けるだけで水への耐性を強くできます。一方で、水中や大雨などの水の量が多い場面には対応しきれず、水が染み込んで破れてしまう可能性があります。
ラミネートやフィルム加工をする
紙にラミネートやフィルム加工をすることで強度を高め、紙が破れにくくなります。
ラミネートとは、ラミネートフィルムと呼ばれる透明なフィルムを紙に貼り合わせる方法です。貼り合わせる際にラミネーターという専用機器を使うものや、手張りで貼り合わせるものがあり、手軽に紙を破れにくくできます。
フィルム加工とは、紙に透明フィルムを貼り合わせ、紙を保護し破れにくくする加工です。食品カップや本のカバーなどに使われ、温度変化への対応や擦れの防止などに役立っています。
紙の修復方法
破れてしまった紙を修復するために、以下の方法があります。
- テープを貼る
- のりで貼る
- 和紙を使う
テープを貼る方法は、はさみやカッターで切ったようなのりしろのない破れに対する補修に向いています。
のりを用いると、手で割いたようなのりしろのある破れの補修ができます。
和紙を使う方法は、虫食いや引きちぎったような欠損の補修方法です。
セロハンテープを使うと数年後に変色発生の可能性があるため、専用の修復テープを使用することがおすすめです。
まとめ
破れにくい紙なら、合成紙がおすすめです。合成紙は印刷しやすい紙と、耐水性や耐久性に優れるプラスチックフィルムの特性をあわせもっています。代表的な合成紙のひとつであるユポは、軽いだけでなく、油や薬品にも耐えられる点が特徴です。リサイクルも可能で、屋外と屋内どちらにも使えるため、幅広い用途で使用できます。
ユポは微細な空孔(ミクロボイド)を内部に形成させる特殊製法で、CO₂排出量やプラスチック使用量を一般的なPPフィルムと比較して約45%削減できます。ユポは世界70ヵ国以上で使用されており、50年以上の実績があります。
※...合成紙市場における販売量(t)、(参考)矢野経済研究所「2022年版 特殊紙市場の展望と戦略」
「ユポエアー」は、従来のユポ製品に比べてプラスチック量を20%削減した、プラスチックの削減に貢献できる素材です。プラスチック使用量を減らしても耐水性や耐久性を保ち、水回りや屋外で使用される製品のラベルを主用途としています。「ユポグリーンシリーズ」は、化石燃料由来樹脂の一部を植物由来のバイオマス樹脂に代替しています。環境に優しく、しかもなめらかで美しい仕上がりを提供できるため、名刺やメニュー、タペストリーなどにも活用可能です。どちらも 「環境負荷削減に貢献できる素材」としておすすめします。性能と環境への配慮を両立した素材を利用したい人は、お気軽にお問い合わせください。
※「ユポ」「ユポグリーン」「ユポエアー」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
地球と人を大切にしていきたい。
当社はこれからも環境保全や環境負荷の削減を使命として社会に貢献していきます。