紙・合成紙のユポ・コーポレーション
更新 2025.06.04 公開 2023.09.01 コラム

ケミカルリサイクルとは?代表的な5つの技術、取り組み事例などについても解説

近年、ポイ捨てによる海洋プラスチック問題やプラスチックゴミの輸出問題など、廃プラスチックの処理問題が深刻化しています。そこで、廃プラスチックを処理する手段として、ケミカルリサイクルが注目されています。この記事は、ケミカルリサイクルへの取り組みを検討する企業担当者に向けて、ケミカルリサイクルの概要やメリット、代表的な5つの技術、取り組み事例などを解説しています。ぜひ参考にしてください。

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目次

    ケミカルリサイクルの代表的な5つの技術

    ケミカルリサイクルとは?

    ケミカルリサイクルとは、化学的再生法とも呼ばれており、使用済みの製品を化学的に分解し、リサイクルする手法です。元の製品ではない、他の製品にリサイクルする場合もあります。ケミカルリサイクルの代表的な技術については、後述します。

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    マテリアルリサイクル・サーマルリサイクルとの違い

    ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクル・サーマルリサイクルは、似て非なるものです。以下では、それぞれの特徴を解説します。

    マテリアルリサイクルの特徴

    マテリアルリサイクルは、廃棄物を化学的に分解せずに原材料として再利用する手法です。例として、包装容器を物流パレットなどに再生する方法が挙げられます。再利用する際に、色や臭いが付いたり、強度など物性が劣化したりする場合がある点は、マテリアルリサイクルのデメリットです。また、リサイクル全般にいえますが、分別や洗浄などの工程も必要となります。

    サーマルリサイクルの特徴

    サーマルリサイクルは、廃棄物を燃焼し、熱エネルギーを利用する手法です。主にゴミ発電や、温水プール、施設内の暖房などに利用されています。ただし、サーマルリサイクルは、化石燃料由来の炭素をCO₂として大気中に排出していることから、欧米では「リサイクル」として認められていません。

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    ケミカルリサイクルが注目される理由

    プラスチック循環利用協会の2020年の調査では、廃プラスチックのうち、62%がサーマルリサイクルであることが問題視されています。化石燃料由来のCO₂の排出を抑制するために、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの比率を高める必要があるためです。

    ただし、マテリアルリサイクルには品質劣化の問題があることから、新品同様の品質を得られるケミカルリサイクルはより注目されています。

    ※参考:プラスチックリサイクルの基礎知識2023|一般社団法人 プラスチック循環利用協会

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    ケミカルリサイクルのメリット

    ケミカルリサイクルには、主に4つのメリットがあります。ここでは、ケミカルリサイクルのメリットについて解説します。

    新品同様の品質のプラスチックを得られる

    ケミカルリサイクルでは、廃プラスチックをモノマーや油といったプラスチック原料まで分解し、プラスチック原料を再度合成してプラスチックを作ります。そのため、新品と同等の品質のプラスチックが得られます。

    化石燃料資源の節約ができる

    ケミカルリサイクルでは、廃プラスチックをプラスチックとしてリサイクルするため、原料となる化石資源の節約が可能です。プラスチックだけではなく、水素やメタノール、アンモニアといった化学製品に転換する場合もあります。有限である天然資源を節約し、資源を有効活用することが可能です。

    CO₂排出量を削減できる

    新たにプラスチック製品を作るのに比べて、CO₂排出量が少ない点も、ケミカルリサイクルのメリットです。CO₂排出量を削減することで、地球温暖化や大気汚染などの環境負荷の軽減につなげられます。

    異物混入に強い

    異物混入に強い点も、ケミカルリサイクルのメリットの1つです。ケミカルリサイクルでは、原料を化学的に分解するため、異物や汚れが付着していても、そのままリサイクルできます。ケミカルリサイクルの種類によっては、複数のプラスチックが混在していてもリサイクルすることが可能です。

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    ケミカルリサイクルの課題

    設備投資がかかる点と、行政の方針に左右される点がケミカルリサイクルの主な課題です。以下では、それぞれの課題について解説します。

    コストが高い

    他の手法と比較してコストが高い点は、ケミカルリサイクルの課題です。ケミカルリサイクルの化学的に分解する工程は大がかりであるため、設備投資が高くなる傾向があります。設備投資が大きくなることで、経済性を確保するために一定規模の操業が必要となり、大量の原料を安定的に確保することも大切です。

    行政の方針に左右される

    行政の方針に左右される点も、ケミカルリサイクルの課題です。容器包装リサイクル制度では、マテリアルリサイクル優先枠を設けるなど、マテリアルリサイクル事業者が優先的に原料を確保できるような方針が取られています。その結果、原料確保が困難となるほか、低い処理費用での落札を余儀なくされているのが実情です。

    ※参考:プラスチックの手法別見込費用推移|公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会

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    ケミカルリサイクルの代表的な5つの技術

    ケミカルリサイクルの技術は、大きく分けて5つあります。ここでは、代表的な5つの技術について解説します。

    1.ガス化

    ガス化は、廃プラスチックをガスに分解して化学製品の原料にする技術です。具体的には、酸素量を制限しながら廃プラスチックを燃やすことで、一酸化炭素と水素からなる合成ガスに分解します。合成ガスは、水素やメタノール、アンモニアなどの化学製品

    2.油化

    油化は、廃プラスチックを油に戻す技術です。プラスチックは石油を原料に作られているため、熱分解することで油に戻せます。生成された脱塩装置を用いて取り除かれた塩化水素は、工業製品や洗浄剤として活用されます。

    3.原料・モノマー化

    原料・モノマー化は、廃プラスチックをモノマーに分解し、再度プラスチックに戻す技術です。プラスチックはモノマーと呼ばれる単量体をいくつもつなげ合わせた構造になっています。一例として、ペットボトルからペットボトルを作る「ボトルtoボトル事業」が挙げられます。

    4.コークス炉化学原料化

    コークス炉化学原料化は、廃プラスチックをコークス炉で再利用する技術です。コークス炉を使って石炭とともに廃プラスチックを熱分解して、コークス炉ガスや炭化水素油を得ます。コークス炉とは、石炭からコークス及びガスを製造する窯炉のことです。

    5.高炉原料化

    高炉原料化は、廃プラスチックを還元剤として使用する技術です。高炉とは、鉄鉱石を還元して銑鉄を製造する設備のことを指します。通常は還元剤としてコークスが用いられますが、コークスとともに還元剤として廃プラスチックを高炉で利用することも可能です。

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    ケミカルリサイクルの取り組み事例

    以下に、5つの技術別のケミカルリサイクルの取り組み事例を紹介します。自社で取り組む際の参考にしてください。

    ガス化|株式会社レゾナック

    株式会社レゾナックの川崎事業所では、2003年にガス化プラントを稼働しました。ガス化プラントによって得られた合成ガスを原料として、製造過程のCO₂排出量が少ないアンモニアを製造しています。

    油化|日揮ホールディングス株式会社

    日揮ホールディングス株式会社は202111月より、廃プラスチックの油化ケミカルリサイクルに関する自社ライセンスの開発を開始しました。旧札幌プラスチックリサイクル株式会社の知見をベースにした、10年間の運転実績のある信頼性の高いプロセスです。同プロセス技術では、塩化ビニルとPETの混入プラスチックを同時に処理できます。

    原料・モノマー化|株式会社RePEaT

    株式会社RePEaTでは、ポリエステルをモノマー化してリサイクルする「RePEaT PROCESS(リピート・プロセス)」のライセンス事業を行っています。株式会社RePEaTは、帝人株式会社と日揮ホールディングス株式会社、伊藤忠商事株式会社の3社が共同で設立した合弁会社です。

    コークス炉化学原料化|日本製鉄株式会社

    日本製鉄株式会社では、2000年よりコークス炉化学原料化法による廃プラスチックのリサイクルに取り組んでいます。201811月には、累計300万トンのリサイクル量を達成しました。

    高炉原料化|JFEスチール株式会社

    JFEスチール株式会社は、1996年から廃プラスチックを高炉還元材として利用しています。廃プラスチックを製鉄プロセスに利用することで、CO₂発生抑制、資源循環、低炭素型社会形成に寄与しています。

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    まとめ

    ケミカルリサイクルとは、使用済みの製品を化学的に分解し、再利用する手法のことです。ケミカルリサイクルのメリットとしては、新品同様の品質のプラスチックを得られたり、化石燃料資源の節約ができたりすることなどが挙げられます。

    株式会社ユポ・コーポレーションでは、合成紙「ユポ」の製造販売を行っています。高い機能性を備えながら環境負荷の少ない点が、合成紙「ユポ」の魅力です。50年以上の生産実績があり、70%を超える国内シェア※を誇っています。

    また、リサイクルへの取り組みとして、ユポの印刷端材などをマテリアルリサイクルする取組を進めています。さらにはCO₂排出量を抑えた「ユポグリーンシリーズ」や、プラスチック使用量を削減できるラベル用合成紙「ユポエアー」の製造販売も行っています。「ユポ」環境ロゴマークの運用を通じた環境意識向上にも取り組んでいます。環境に配慮した事業を検討している方は、ぜひお問い合わせください。


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    ※「ユポ」「ユポグリーン」「ユポエアー」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。

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