拡散や反射とは?正反射(鏡面反射)等との違い、見やすさとの関係も
光の拡散反射とは、鏡などの表面で対称、同一方向に反射する鏡面反射に対し、光が適度に分散させながら反射される現象です。拡散反射の性質を用いると、光を均一にし、ものを見やすくするなどの効果が得られます。拡散反射についてと見やすくなる理由を解説します。

光拡散とは?
光拡散とは、平行光線のような向きがそろった光を媒質の反射、あるいは通過、透過の際に拡散させることです。
光は物質に入射すると反射光と屈折光に分かれます。反射光は、滑らかな表面では反射の法則に従い対称に反射しますが、表面が粗い場合は向きが多方向に分散します。これが散乱と呼ばれる現象です。
屈折光も、透明度が高い物質の内部では同じ方向に屈折しますが、透明度が低い場合はさまざまな方向に分散します。
これらの現象を光拡散と呼びます。
拡散反射とは?正反射、全反射との違い
拡散反射とは、反射光が同じ方向に向かわず、さまざまな方向に分かれ散乱する反射です。
光は滑らかな面で反射すると対称な方向に反射する性質があり、これを正反射と呼びます。全反射は、屈折率の小さな物質から大きな物質との境界面で、光が屈折を起こさず全て正反射する現象です。
拡散反射(乱反射)は光がさまざまな方向への反射
拡散反射は、光が比較的粗い面に入射する際に起こる現象です。光は通常物質表面で、反射の法則に従い入射角と対称な角で反射します。
しかし、入射面に小さな凹凸があると、凹凸面に対する入射角がばらばらになるため、反射する方向も異なります。これが光の多方向の分散につながります。これが拡散反射、もしくは乱反射と呼ばれる現象です。
表面がざらざらしている物体や光沢、艶がない物体は光を拡散反射する性質を持ちます。
正反射(鏡面反射)は均一な反射
鏡や表面に光沢のある物質は、表面が滑らかで細かな凹凸が少ない物質です。こうした物質では、表面に入射した光は対称の方向に反射し、光の束として見ても同じ方向に向かいます。これが正反射、あるいは鏡面反射です。光沢のある、表面がツルツルした物質で起こる現象です。
この現象では、光が同一方向を保つため、反射光を観測すると光源となった物体の像が見えます。例えば鏡は、この特性のおかげで鏡越しに自分の姿が見えます。
反射の種類における輝度の違い
輝度とは、単位面積あたりの光の量を表す数値で、物体の反射光の「明るさ」を示します。
物体が完全な拡散反射をする場合、反射光の輝度は角度に関係なく均一です。この場合、輝度は入射光の明るさ(照度)によって決まります。
物体が鏡面反射をするときは、輝度は反射光の方向(入射する光と鉛直面について対称な方向)でもっとも大きく、それ以外では小さくなる点が特徴です。現実の物体では、反射光の方向で輝度がもっとも大きく、角度によって輝度が変化します。角度による輝度の変化が小さいほど、均質に光を拡散します。
拡散反射のメリット
物体の拡散反射の度合いが大きいと、物体が見やすくなる効果が表れます。特に光源の光を適度に分散させるには、拡散反射の度合いが大きいほうが有利です。拡散反射がもたらすメリットを解説します。
物体が見やすくなる
物体の表面に拡散反射の性質を持たせると、入射した光量が均一に多方向へ分散されるようになります。光が均一になることから、ムラが生じなくなるメリットが生じます。
拡散反射しやすい処理を施すと、どの方向から見てもある程度の明るさを持ち、視認しやすくなるでしょう。例えば液晶画面の下に拡散反射板を設置すると、入射光が特定の方向に依存せず均一に反射して、画面が均一に明るくなり、見やすくなります。
省エネにつながる
拡散反射の性質を持たせると、光が均一に散乱します。物体に反射板としての機能を持たせたいとき、素材の選択や表面加工によって拡散反射の度合いを高められると、光がムラなく広がります。
液晶ディスプレイは画面を見やすくするためにバックライトが備わっている場合がほとんどです。しかし、自然に入射した光を液晶画面の背後で均一に散乱させれば、バックライトを強くしなくても画面全体を明るく視認できるようになるでしょう。
拡散反射の原理を応用した用途例
拡散反射の原理は、光の分析計測やセンサ、光拡散フィルムなどの製品に応用できます。拡散反射を活用し機能性を発揮している製品とその用途を解説します。
分析計測機器
試料に光を当て、反射する光を分析すると試料の組成を測定できます。これを応用した手法が分光分析です。
拡散反射法では、拡散反射による散乱光のスペクトル分析によって試料を解析します。スペクトル分析とは、光の波長ごとの強度を分析する手法です。
試料に入射された光は内部に透過したあとに反射と拡散を繰り返して再度外へ出たと仮定します。その上で、反射光のスペクトルを測定する方法です。
例えば、赤外分光法は、試料に赤外光を照射して、試料内部を透過または反射した光を測定することで、試料の構造解析や定量を行います。赤外光は試料中の分子の振動や回転運動の状態を変化させるエネルギーとして試料に吸収されるため、反射光に基づいて試料に吸収された赤外光のスペクトルを測定すれば、試料の化学構造や状態に関する情報を得ることができます。
光電センサ|反射光で物体を検出する
光学センサには、物体に光を照射し、拡散反射光によって検知するタイプがあります。
検出する反射光が散乱反射を起こすと想定すると、検出距離は短くなるものの、照射軸の限定が不要になります。その結果、センサを小さくできる、電源供給を少なくできるなどのメリットが生じるでしょう。
光電センサは透過型やミラー反射型などの方法もありますが、対象表面の滑らかさに依存したり、遮光する必要があるなどの制限が付きます。そのため、拡散反射型は汎用性の高い手法といえます。
光拡散フィルム|液晶に使われる
光拡散フィルムは、特定の方向に集中する光を拡散反射により分散させ、面方向の光を均一にする効果を持つフィルムです。テレビやパソコン、スマートフォンの液晶画面に使用されています。
液晶ディスプレイには、プリズムシートと呼ばれる光に方向性を持たせるシートの上下を光拡散フィルムではさんだものが、使用されています。LEDなどのバックライトからの光源光がこのシートを通過する際、一方の拡散フィルムで拡散された光がプリズムシートによって一旦同一方向にまとめられ、再度もう一方の拡散フィルムを通過する際に拡散することで面方向に均一な光となり、液晶画面をムラなく照らします。
反射材|反射で見えにくくする
反射材は、拡散反射する素材を用いたアイテムです。交通の安全の確保や防犯の目的で使用されます。
反射材は光の反射率が高く、かつ散乱度も大きいため、少ない光源の反射でも多方向から視認しやすく光ります。これにより車の運転手から視認しやすくなり、交通事故を防ぐ効果を発揮するでしょう。
まとめ
拡散反射について紹介しました。光の拡散や反射などの現象は、身の回りの多くのものに活用されています。
合成紙ユポには、半透明グレードが用意されています。半透明グレードのユポは光を透過、あるいは透過後反射する際の拡散性が大きく、液晶ディスプレイや電飾広告として活用可能です。紙のしなやかさやコシを保ったまま光拡散シートと同様の効果を発揮できる製品です。
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※「ユポ」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
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