紙・合成紙のユポ・コーポレーション
更新 2025.06.04 公開 2024.03.04 コラム

プラスチックフィルムとは?種類や特長を解説

プラスチックフィルムは、プラスチックを薄い膜状にしたもので、食品包装や環境・エネルギーなど、さまざまな分野で利用されています。 この記事では、プラスチックフィルムについて、種類や特長を解説します。プラスチックのリサイクルについても解説しますので、ぜひ役立ててください。

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目次

    プラスチックとは

    プラスチックとは、「合成樹脂」の1つです。ギリシャ語の「プラスティコス(形づくれる)」が語源で、可塑性があることを示しています。

    樹脂は、もともと樹液が固まった天然高分子物質(天然樹脂)を指していました。松脂や漆などの天然樹脂は、容易に加工や成形ができ、形状を安定して維持することが可能です。合成樹脂は、化学的な工程で生産される人工高分子物質で、天然素材の代用品としての利用などから活用が始まりました。例としては、象牙の代替としてのセルロイドの利用などが挙げられます。

    合成樹脂は大きく分けると、加熱すると流動するようになる熱可塑性樹脂と、加熱で硬化する熱硬化性樹脂があります。熱可塑性樹脂は、入手しやすいだけでなく、成形加工が容易なため、現代社会ではさまざまな製品に利用されています。

    プラスチックの原料

    私達の身の回りのプラスチックは、多くが「ナフサ」由来です。ナフサとは、原油を加熱し蒸留した際に、沸点の違いにより分離精製される石油留分の一種です。原油は蒸留されると、沸点の低い順にLPガス、ナフサ留分、灯油留分、軽油留分および重油留分に分かれます。

    ナフサは常温では液体で、ガソリンに似た成分からできており、別名「粗製ガソリン」ともいいます。ナフサを熱分解すると、プラスチックの元となる「エチレン」や「プロピレン」などが作られ、一方、ナフサをさらに蒸留精製するとガソリン留分が得られます。

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    プラスチックフィルムとは

    プラスチックフィルムとは、プラスチックを薄膜状に成形したものです。コストの安さや、さまざまな形状に成形できる汎用性の高さなどから、プラスチックフィルムは食品包装やエレクトロニクス、自動車、環境・エネルギー、農業など幅広い分野で利用されています。

    薄膜状に成形した「フィルム」や「シート」などの呼称は、多くが曖昧に運用されているのが実情です。JISの包装用語規格では、「厚さが0.25㎜未満のプラスチックの膜状のもの」をフィルムと定義しています。一方で、国内では慣習的に厚さ0.2mm以下のものをプラスチックフィルム、より厚いものをプラスチックシートやプラスチック板などと呼ぶことが多いようです。

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    身近にあるプラスチックフィルムの種類

    プラスチックフィルムにはどのような種類があるのでしょうか?ここでは、身近にあるプラスチックフィルムを7つ解説します。

    OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム

    OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムとは、ポリプロピレンフィルムの一種です。食品や雑貨、繊維製品を包装する際に使う溶断シール袋のように、安価な袋に広く使われています。OPPフィルムは成膜後に、長さ方向や幅方向(あるいは長さ・幅の両軸方向)に引っ張って(延伸して)製造するのが特長です。

    ポリプロピレンフィルムに共通する特長は、軽量で耐薬品性や耐油性が高く、比較的安価である点です。後述のCPPフィルムに比べて、耐熱性や防湿性、透明度、引張強度、剛度(コシ)に優れています。また、CPPフィルムよりもガスバリア性が高いため、気体を通しにくいといえます。

    CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム

    CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムとは、ポリプロピレンフィルムの一種です。袋にすると裂けにくいため、食品や雑貨の軽包装や繊維包装、容器の内袋などに広く使われています。

    CPPフィルムは、成膜後に延伸せずそのまま使います。前述のOPPと比べると柔らかく、引っ張ると伸びやすく裂けにくい点が特長です。また、耐寒性やヒートシール性(熱接着性)に優れています。

    ONY(延伸ナイロン)フィルム

    ONY(延伸ナイロン)フィルムとは、ナイロンを成膜後に延伸して製造したフィルムです。ONYフィルムは、中身が漏れにくい袋を作りやすく、液体包装に多用されています。身近なものでは、レトルト食品のパウチ包装などが一例です。

    ONYフィルムは強靭性やガスバリア性、耐ピンホール性、耐熱性、耐寒性に優れています。優れたガスバリア性で、食品・非食品の包装用途幅広く使用されています。

    ONYフィルムの融点は高く、ヒートシール(熱接着)が難しいため、ヒートシール性を付与するには、多くの場合ほかのフィルムと積層します。湿熱処理すると強度が低下するため、湿熱処理を必要とする場合は、一般的にPETフィルムと積層されて使用されます。

    HDPE(高密度ポリエチレン)フィルム

    HDPE(高密度ポリエチレン)フィルムとは、ポリエチレンのなかで特に密度が高いHDPEをフィルムとしたもので、HDPEは「ハイデン」とも呼ばれています。HDPEフィルム使用されているものの例は、スーパーのロールポリ袋やレジ袋などです。

    HDPEフィルムは、ポリエチレンフィルムのなかでは、耐水性や耐アルカリ性、耐衝撃性、剛性、耐熱性、耐寒性に優れています。しかし、ガスバリア性や耐有機溶剤性は、あまりよくありません。見た目は不透明で、フィルムにすると白濁色になります。触るとサラサラした感触です。

    LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム

    LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムは、低密度で柔らかく、剛性の低いLDPEをフィルムにしたものです。LDPEは「ローデン」とも呼ばれています。代表的な用途は、ごみ袋や食品包装用フィルムなどです。LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムは、ヒートシール性や耐衝撃性、耐寒性、透明性に優れていますが、耐油性や耐熱性はあまりよくありません。

    L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルム

    L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムとは、より低密度なL-LDPEをフィルムにしたものです。L-LDPEは「リニアローデン」とも呼ばれ、生産量の75%はフィルムとして使われています。

    L-LDPEフィルムは、低密度ポリエチレン(LDPE)と見た目で区別するのは容易ではありません。低密度ポリエチレンよりも若干透明度が劣っている点が、見た目の違いといえます。LDPEより耐ピンホール性に優れており、剛性や柔軟性はHDPEとLDPEの中間に位置します。

    PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム

    PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは、耐熱性や耐寒性、耐薬品性、透明性に優れており、性能バランスがよく汎用性が高いフィルムです。ベースとなるPET樹脂に各種添加剤を加え、さまざまな特性を持たせたフィルムが工業用に広く普及しています。PET樹脂は、ペットボトルの素材として有名です。

    高透明グレードのPETフィルムは、各種ディスプレイの表面保護フィルムやタッチセンサー基材に使われています。食品包装用では、ナイロンフィルムやアルミ箔、OPPなどと積層して、レトルト包装に多く使われています。

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    プラスチックフィルムの特長

    プラスチックフィルムは優れている点が多く、さまざまな分野で活用されています。ここでは、3つの特長について解説します。

    フィルム状の素材同士を貼り合わせる利用形態が普及している

    プラスチックフィルムの特長には、他の素材と貼り合わせることが挙げられます。ドライラミネートは、接着剤で別のフィルムや金属箔を貼り合わせる方法で、一般的なラミネート方法です。接着剤や温度などの条件を変えることで、さまざまな素材に対応できます。身近なところでは、スナック菓子やレトルト食品の包装に利用されています。

     

    サーマルラミネート(熱ラミ)では、前もって熱で溶ける接着剤などを塗布(プレコート)したフィルムを使います。そのようなフィルムを加熱して、別のフィルムと貼り合わせる方法です。また、プレコートされたフィルム以外にも、フィルムを一定の温度に加熱することで軟化させ、他の素材に圧着することで貼り合わせする手法も、サーマルラミネートの1種です。接着剤をラミネート工程で塗布しないため、シンプルな設備で対応できます。ロールされたフィルムだけではなく、1枚1枚カットされた枚葉製品へのラミネートも容易です。

    加工がしやすい

    プラスチックフィルムは薄く、簡単にカットできるため、加工がしやすいことも特長です。抜き型やレーザーを使えば、希望の大きさや形への加工も難しくありません。近年は、3次元ラミネート成形のように、複雑な3次元形状に加工できる技術も発展しています。

    コーティング等で機能の追加が容易

    プラスチックフィルムは、他の素材と組み合わせることで、新たな機能を持たせることができます。この技術は「コーティング」と呼ばれ、様々な種類があり、例えば以下のようなものがあります。

    ・易接着コート:他の素材との接着性が高い樹脂や薬剤など塗布する

    ・ハードコート:硬い樹脂層など設ける。傷がつきにくくなるため、表面保護などの目的で行われる。

    ・着色コート:各種の顔料など着色剤入りの薬剤を塗布するなどして、フィルムに着色する。

    ・粘着加工粘着剤を塗布する。剝離紙と貼り合わせ、ラベル・シール素材などを製造する、他素材とラミネートする、などのために行われる。

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    プラスチックのリサイクル

    近年、プラスチックフィルムを含め、プラスチックそのもののリサイクルについて、関心が高まっています。その背景にあるのが、脱炭素社会の実現や地球温暖化対策、海洋プラスチック問題などです。ここでは、プラスチックをリサイクルする方法と、リサイクルするメリットについて解説します。

    プラスチックのリサイクル方法

    プラスチックのリサイクル方法には、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つの方法があります。

    ・マテリアルリサイクル:廃プラスチックを原材料に、化学的に分解することなく加熱溶融や成形などの加工を行って、新たなプラスチック製品を作るリサイクル方法。

    ・ケミカルリサイクル:廃プラスチックを化学的な処理で分解して、再びプラスチックを合成して再生利用する方法。

    ・サーマルリサイクル:廃プラスチックを燃焼し、発生した熱エネルギーを利用する方法。なお、欧米ではリサイクルと認められていないので、エネルギー回収と呼ばれています。

    プラスチックをリサイクルするメリット

    プラスチックをリサイクルすると、3つのメリットが得られます。

    1つ目は、環境負荷削減です。リサイクルにより焼却処分されるプラスチックごみを減らせれば、排出されるCO₂や有害物質減らすことに繋がります。また、リサイクルで再利用することにより、化石燃料資源から製造する場合に比べ、CO2排出量を削減できる可能性もあります。

    2つ目は、資源の消費量を抑えられることです。主なプラスチックの原料である化石燃料資源には限りがあるため、プラスチックを再利用し資源の消費量を抑えることで、枯渇するまでの期間をより長くできます。

    3つ目は、企業のイメージアップです。企業がプラスチックのリサイクルに取り組めば、環境問題に取り組む姿勢が評価され、イメージアップにつながるでしょう。

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    まとめ

    「ユポエアー」は、脱プラスチックが難しい場合でも、プラスチック削減に貢献できる素材です。ユポグリーンシリーズは植物由来樹脂を配合しています。どちらも化石燃料由来のプラスチック使用量CO排出量の削減につながる素材としておすすめします。環境に配慮した素材をお求めの際は、ぜひお問い合わせください

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    株式会社ユポ・コーポレーションは、合成紙「ユポ」の製造販売を行っています。高い機能性を備えながらも、環境負荷の少ない点が、合成紙「ユポ」の強みです。国内No.1のシェア※を誇り、50年以上の実績があります。またユポは、セキュリティラベルの基材としても良く活用されています。転移タイプ・非転移タイプ・ぜい質タイプ、それぞれに向いた特性のラインナップがあることが特徴です。

    ※...合成紙市場における販売量(t)、(参考)矢野経済研究所「2022年版 特殊紙市場の展望と戦略」


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    「ユポ」「ユポグリーン」「ユポエアー」は株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。

    この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション

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    「ユポ静電吸着」「クロスユポ」「ハイティアーユポ」「コンシールユポ」「ユポジェット」「ユポコート」「YPI」「ユポエアー」は(株)ユポ・コーポレーションの登録商標です。
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