コクヨ様とユポのご縁は40年以上!「測量野帳」「SAUNA BU」ノートを通して、コクヨ様が目指す "コクヨの在り方" とその実践についてお話を伺いました

ステーショナリーやオフィス家具の製造・販売を手掛ける、1905年創業のコクヨ株式会社様。言わずと知れた「キャンパスノート」などのロングセラー品をはじめ、時代やニーズに応じた商品を数多く世に送り出している企業です。
同社は、2021年に2030年へ向けた「長期ビジョンCCC2030」を策定し、既存領域である文具・オフィス家具という枠に捉われず、豊かな生き方を創造する「WORK & LIFE STYLE Company」となることを目指し、さまざまな取り組みを実践しています。
こうした方針のもとで誕生したコクヨ様の新たなブランド「SAUNA BU」。ユポが使用されたロングセラー「測量野帳」の派生商品として、同ブランドに耐水ノートがラインナップされたことをきっかけに、今回のインタビューを実施させていただきました。
コクヨ様のふたつの商品にユポが採用された経緯をはじめ、同社の企業文化および「WORK & LIFE STYLE Company」を目指す上での取り組みについて、コクヨ株式会社 ヒューマン&カルチャー本部 コーポレートコミュニケーション室 大貫様にお話を伺いました。
屋外で使用する人々のニーズを反映した「測量野帳」。今では新たなユーザーや使い方も
測量野帳
「測量野帳」といえばこの緑の表紙が定番
―コクヨ様のロングセラー商品「測量野帳」の歴史や特徴についてお話いただけますか?
大貫様:測量野帳は1949年の測量法制定をきっかけに、測量士向けノートとして1959年に発売されました。今年(2025年)で66年を迎えるロングセラー商品です。キャンパスノートが50周年なので、歴史はそれより長いですね。
現場で立ったまま筆記できる表紙の硬さ、持ちやすくポケットに入るサイズ感が特徴で、それらは今も引き継がれています。
先ほど測量士向けと言ったように、測量野帳は元々プロユース商品でしたが、現在ではパブリックに使われるようになりました。「ヤチョラー」と呼ばれる野帳愛好家の方々がいて、ライブのチケットを貼ったり、旅行の記録をつけたりと、66年の歴史の中でユーザーや用途が多様化した面白い商品だと思います。
―どのような経緯で「測量野帳」にユポが採用されたのでしょうか?
大貫様:測量野帳は1959年に発売され、耐水タイプにユポを採用するようになったわけですが......当時を知る社員はすでに引退しておりまして。資料情報によるとユポの採用は1984年のようです。
なぜユポが使われるようになったかというと、測量野帳は建設現場などの屋外利用が多く、雨天や水場でも使えることが当時のニーズでもあったからですね。水に濡れても用紙がふやけず、鉛筆で書くことができるユポなら現場の声に応えられるのではないかと。
測量野帳の本文にユポが持つ耐水性を付与することで、現場で働く方により愛用していただけるようになりました。
測量野帳(耐水タイプ)
中紙にユポが使用されている測量野帳
測量野帳 <ブライトカラー>(耐水・PP表紙)
こちらも中紙はユポ。表紙もPP製なので屋外や雨天でも活躍
商品が持つストーリーと共感が新たなファンを生んでいく。本物志向のユーザーに刺さる「野帳」の魅力
―現在のラインナップでは、耐水タイプにユポが使われていますね。紙製の「野帳」もあり、ユーザーの幅も広くなったと伺いました。貴社のサイト「100人、100の野帳。」を拝見すると、ヤチョラーの方々の活用アイデアに驚きます。なぜ「野帳」にはファンが多いのでしょうか?
大貫様:「100人、100の野帳。」は野帳ユーザーが各々の使い方を紹介しているページですが、「自分もこういう使い方をしています」「こんなアイデアもあるんだ」といったように、共感していただき、価値を共に創り、広げていく場となっています。プロユースとして世に出て、プロに愛され続けて60年以上というストーリーが野帳にはある。そこに共感する人がだんだんと増えていって、ユーザーや用途が多様化しているのだと思います。
立ち上げたブランドのPOP UP SHOPを先日(2024年11月~12月)シドニーで開催したのですが、"ストーリーがある商品だから"ということで野帳を販売商品にラインナップしました。クリスマス需要もあって売れましたね。
オーストラリアの方も日本のファン同様、"プロに愛されてきたものが好き"という傾向があるようで、ストーリー込みで野帳を面白いものと思っていただけたようです。
ヤチョラーの方々の個性が光る野帳の使い方
コクヨ流「お客様の声の拾い方」と同社の「実験カルチャー」
―ノートをはじめとする文具は、少子化やデジタル化の影響で売り上げも減少傾向にあるのではないかと想像されます。こうした時代において、コクヨ様ではどのような展開を図られていますか?
大貫様:需要の減少は間違いないところですね。ノートを使って勉強する時代でもなくなってきましたし、売り上げは下がっていくと思います。その一方で、野帳やキャンパスノートなどは、お客様のニーズに合わせて多種多様な製品を出すことで、新たな市場も開拓しています。
例えば、キャンパスシリーズの「キャンパス 肉球ソフトリングノート」。柔らかいリングを肉球に見立てた商品で、犬や猫などの動物好きがターゲット。決してノートが欲しい人というわけではなく、デザインやリングのプニプニ感に惹かれてしまう人たちです。
ペットショップでこのノートが売られていたら面白いですよね。目指すところは、文具売り場以外の場所で取り扱ってもらうといった「領域の拡張」です。
―「領域の拡張」を目指すにあたり、商品企画・開発はどのように実施しているのでしょうか?
大貫様:コクヨは顕在化していないニーズを見つけ出すことに強みを持っている会社で、欲しいという声が上がって商品を作るのではなく、発売してからユーザーに「こういうものが欲しかった」と言っていただけるような商品の企画・開発に取り組んでいます。未充足ニーズと呼ばれるものですね。
そのためにリサーチは日常的に行っています。店舗に行ってお客様の買い物の現場を見るのはもちろん、例えば、100個商品を作って購入者100人にアンケートを取ったり、直営店で先行販売して反応を見て全国販売したり。元々、コクヨには「お客様より先に失敗する」という実験カルチャーがあります。それがこうしたリサーチ手法にも活かされていて、その手数の多さもコクヨの面白いところだと思っています。
企業カルチャーと名物社員から生まれたライフスタイルブランド「SAUNA BU」
―ユポが使われた商品もラインナップされている「SAUNA BU」についてお伺いしていきたいです。その「SAUNA BU」もこうした実験カルチャーから生まれたのですね?
大貫様:そうですね。そのカルチャーと、「カワちゃん」の存在も大きいですね。「SAUNA BU」はコクヨのブランド事業ですが、始まりはカワちゃんを部長とした、2016年発足の「コクヨサウナ部」という社内部活動です。5歳でサウナデビューしたカワちゃんは、「サウナ伝道師」として名の通ったコクヨ社員。複業でサウナプロデュース業も手掛ける彼が、サウナを起点にコミュニケーションが図れないか、面白いことはできないかと「コクヨサウナ部」を立ち上げたところ、どんどん部員が増加していきました。サウナをフックに他社とも繋がるようになり、今では200社以上のサウナ部が加盟する連合 (JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE)も発足して、定期的に実施するサウナ会で企業間交流を深めています。
「コクヨサウナ部」は、文具の領域拡張をしていきたいという会社の方針と合致して「SAUNA BU」としてブランド化したのですが、そのプロセス自体が実験的でした。
ステーショナリー部門のほうで、文具に限定しないグッズの企画が進んでいたことがプロローグ。企画がポーチに行き着き、サウナと結びつき、サウナ部部長のカワちゃんにヒアリングだ!となったことがブランド事業化のスタートです。部活動のサウナ部にもグッズの企画はあったので、ステーショナリー部門の商品ラインナップにサウナポーチがひとつあるよりも、一緒になってサウナ部をブランド化して展開していくのが良いのではないか、というのが経緯です。部署もバラバラだし、実験的ですよね。
「SAUNA BU」は自分たちが作り手であり、ターゲットでもある。そんなサウナ好きが「あったらいいな」と思うプロダクトを発信していく、そんなブランドです。
―「領域の拡張」を実践しつつ「実験カルチャー」を地で行くブランドですね。ユポをご採用いただいた「SAUNA BU」ノートは、測量野帳の派生商品と伺っております。
大貫様:サウナの中でも使用できる耐水ノートにユポを使用しています。すでに測量野帳があるので、比較的スムーズに展開できた商品だと思います。ノートとセットで使える鉛筆シャープも、既存商品を「SAUNA BU」仕様のデザインにしたものです。
サウナやお風呂に入っているときにアイデアが浮かぶ方も多いと思うので、思いついたことをぜひ書き留めて欲しいですね。
サウナフェアにノートを展示したらウケましたよ。コクヨとサウナのギャップは評判が良く、やはりサウナのジャンルにおいてステーショナリーは差別化を図れました。
サウナやお風呂でのひらめきを書き留められるサウナノート
―大貫様が「SAUNA BU」に携わるにあたり、ユポに期待することがあれば教えていただけますか?
大貫様:違う色があれば、色違いで耐水ノートを出してみたいですね。
私は選挙権を持ったときにユポに出会ったのですが、この世で一番字が綺麗に書ける素材だと思っていて。投票時に折っても開くということを知って興味を持ちました。だから、こうしてユポが用いられる商品に携わることになり、「選挙以外で再会できたな」という気持ちです。
―そうおっしゃっていただけるとありがたいです。今後も商品開発のお手伝いができれば嬉しいです。
コクヨ様が循環型社会へ向けて取り組まれている「SUTENAI CIRCLE」についても、弊社が貢献できることがあると考えております。ユポの端材や使用済みのユポを収集してリサイクルする仕組みがあるので、こうした取り組みの協業についても改めてお話させていただければ幸いです。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
※ 掲載内容は取材当時のものです。
※「キャンパス」「SUTENAI CIRCLE」はコクヨ株式会社様の登録商標です。
※「ユポ」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
※ ユポ・コーポレーションは、2025年4月に「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE」へ加盟しました。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
地球と人を大切にしていきたい。
当社はこれからも環境保全や環境負荷の削減を使命として社会に貢献していきます。