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更新 2025.06.12 公開 2023.09.04 コラム

リサイクルポリエステルとは?定義や特徴、利用した取り組みなどを解説

リサイクルポリエステルは、SDGsが社会に浸透するにつれて注目されはじめたものの1つです。この記事では、リサイクルポリエステルの基礎情報や3つの種類、メリット・デメリット、利用した取り組み、作る際の手順について解説します。自社での導入を検討しているお方は、是非参考にしてください。

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目次

    リサイクルポリエステルの基礎情報

    リサイクルポリエステルとは、具体的にどのようなものでしょうか。材料や環境への配慮、特徴、利用されるケースについて解説します。

    リサイクルポリエステルとは?リサイクル前のポリエステルとの違い

    リサイクルポリエステルとは、使用後に回収されたペットボトルや繊維製品、フィルム端材などの再生原料から作られるポリエステルです。なかでも、ペットボトルを再生原料にしたものが多くの割合を占めています。

    石油や天然ガスなどを原料にして作られる、化石資源由来のポリエステルとは異なり、再生原料を用いることで石油の利用量や海洋ごみの削減が期待できます。また、リサイクルポリエステルを使用すると、 CO₂の排出量を抑えられるため、地球環境に優しいことが特徴です。

    リサイクルポリエステルの特徴

    リサイクル前のポリエステルの特徴は、繊維から織物にした場合に型くずれやシワになりにくい製品ができることです。耐久性が高く軽量で速乾性も高いため、衣類や靴などに利用されています。リサイクルの手法によっては、リサイクルする前のポリエステルと同等の性能を備える リサイクルポリエステルが得られるでしょう。

    SDGsが注目されるにつれて、リサイクルポリエステルをサステナブルな素材として利用するケースが増加しています。環境に配慮したサステナブルな素材のなかでも、リサイクルポリエステルは比較的安価で、かつ品質が安定しているため人気です。

    品質表示にはポリエステルとして記載される

    リサイクルポリエステルを使用した繊維でも、品質表示は「ポリエステル」として記載されます。
    ただし、取扱い表示等の欄に「ポリエステルの原料に、リサイクル材料を〇%使用」と、数値を記載することが大切です。

    リサイクルポリエステルの使用に関連させて、「環境に優しい」や「地球に優しい」などと、あいまいな環境主張や持続可能性の主張をしてはならないルールがあります。
    優良誤認とならないよう、リサイクルポリエステルの使用量は、客観性のある合理的根拠に基づくものであることが求められます。

    ポリエステルのリサイクルの3つの種類

    リサイクルの手法である、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルについて解説します。

    1.マテリアルリサイクル

    マテリアルリサイクルは、使用済みの製品または廃棄物のなかの資源を、できるだけ性質を変えずに素材のまま再利用する方法です。リサイクルポリエステルの代表例がポリエチレンテレフタレートであり、回収したポリエチレンテレフタレートをポリエチレンテレフタレート のまま、形状や状態のみを変えて利用します。

    ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)とは、代表的なポリエステル樹脂の1つで、テレフタル酸とエチレングリコールを結合させて作った樹脂のことです。略称はPETです。ポリエチレンテレフタレートのマテリアルリサイクルの例としては、ペットボトルを粉砕・溶融・紡糸して、再生ポリエステル繊維を製造する手法が挙げられます。

    マテリアルリサイクルは、ケミカルリサイクルに比べて工程が少なく、安価なリサイクルが可能です。ただし、混入する異物をすべて取り除くことや、ポリエステル繊維から再生ポリエステル繊維を作ることは、難しいとされています。 マテリアルリサイクルでは、品質の低い原料になってしまったり、リサイクル後の用途が限られたりする場合があります。

    2.ケミカルリサイクル

    ケミカルリサイクルとは、使用済みの製品または廃棄物のなかの資源を、化学反応によって分子レベルにまで分解し、分子を回収して重合などの化学反応をし、再利用する方法です。重合とは高分子物質が作られる際の化学反応のことです。

    例えば、ペットボトルからポリエチレンテレフタレートの粗原料である、テレフタル酸を回収して、再びポリエチレンテレフタレートを作成する手法が該当します。工程が多くマテリアルリサイクルと比べて費用が高価になるものの、様々な状態の使用済み製品や廃棄物からリサイクルが可能で、かつリサイクル品の品質の劣化を抑えられることが特徴です。

    3.サーマルリサイクル

    サーマルリサイクルとは、可燃ごみとともに焼却して、発生する熱エネルギーを発電等に活用する方法です。汚染がひどく、再生品化するリサイクルが難しかったり、分別に手間がかかったりする場合に選択されます。

    ポリエステル はプラスチックの中でも燃焼熱が低いことから、かつては焼却炉を痛めない助燃剤として珍重されていました。

    リサイクルポリエステルのメリット

    リサイクルポリエステルには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、6つのメリットについて解説します。

    プラスチックごみを低減する

    廃棄ペットボトルをはじめとしたプラスチックごみは、廃棄物全体の中でも発生量が多く、海洋汚染の原因の1つです。海に流れ着いたプラスチックごみを、魚や海鳥が誤って飲み込んでしまうケースも珍しくありません。波や日光の働きによって細かくなり、直径5mm以下の「マイクロプラスチック」となると、長期間自然界に残るといわれています。

    プラスチック製品の1つであるペットボトルを、使用後にごみとせずに資源としてリサイクルすることで、海洋ごみになっていたかもしれないプラスチックを低減することにつながります。

    排出量削減に貢献できる

    ポリエステルは通常、石油や天然ガス、石炭などの化石資源が原料です。化石資源由来のペットボトルを焼却処分する場合、化石資源由来の二酸化炭素を大気中に排出しますが、焼却せずに再製品化することで排出量を大きく減らせます。リサイクルポリエステルは、使用後に回収したペットボトルなどを原料とするため、樹脂生産時の化石資源の使用量を削減することも可能です。

    着心地のよい素材となる

    ポリエステルを紡績した繊維は、衣服に使用する際、着心地のよい素材として広く知られています。

    ポリエステル繊維は汗などを直ぐに拡散し蒸発させる速乾性によって、サラッとした肌触りが得られます。またポリエステル繊維は光透過性が低く、紫外線の遮断効果があることも、着心地の良さを支える優れた特徴の1つです。

    リサイクルポリエステルはリサイクル前のポリエステルと比べても品質劣化が少なく、ポリエステル本来のメリットをよく保持しています。

    耐久性に優れている

    リサイクル前のポリエステルのメリットとしては、紡績加工が容易で、耐久性にも優れているため、衣類の素材に適していることが挙げられます。

    リサイクルポリエステルも同様に優れた耐久性があり、毎日の着用や洗濯でも繊維が破れたり、擦れて薄くなったりしにくいことが特徴です。そのため、オフィス用の制服や医療用ユニフォーム、激しい動きに対応したスポーツウェアなどに使用されます。

    また形状安定性から、作業服や学生服などにもよく使用されています。

    通気性がよいのに暖かい

    リサイクルポリエステルは、フリースへの利用がよく知られている素材です。

    フリースは通気性がよいポリエステル繊維で作られており、繊維が起毛しているため、繊維と繊維の間に空気の層ができやすくなり保温効果を発揮します。

    また、ポリエステルは軽量さ、通気性のよさや速乾性があり、肌触りがサラッとしているため、特にスポーツ用衣類の生地として優れています。形状記憶性が高くシワになりにくいことや、虫やカビの被害を受けにくく保管していても劣化しにくいことも魅力です。ただし風が強い日にはアウターを重ね着する方が良いでしょう。

    エコマークが付けられる

    製品に使用する全体の繊維重量のうち、リサイクル繊維の割合が一定基準※以上あると、環境ラベル「エコマーク」の申請をすれば認定を受けられる可能性があります。
    リサイクル繊維とは、リサイクルポリエステルやリサイクルポリプロピレンなどの樹脂素材から作られた繊維です。

    エコマークとは、製品のライフサイクル全体の環境への負荷が小さく、環境保全への貢献が認められた製品に付与されるマークです。
    そのため、エコマークが付いた製品は環境配慮が認められたとみなされ、サステナビリティに対する企業の取り組みを証明できます。

    ※公益財団法人日本環境協会のHPにてご確認ください。https://www.ecomark.jp/

    リサイクルポリエステルのデメリット

    リサイクルポリエステルにはプラスチックごみの削減や二酸化炭素排出量の削減などのメリットがある一方で、デメリットがあることも確かです。
    ここでは、ポリエステルのデメリットを詳しく紹介します。

    静電気が発生しやすい

    リサイクルポリエステルだけでなくポリエステル自体のデメリットとして、合成繊維のため静電気が発生しやすいことが挙げられます。ニットにすると特に静電気が発生しやすく、肌が敏感な人は気になることもあるでしょう。

    毛玉ができやすい

    ポリエステルは摩擦に弱く、毛玉ができやすいため、お手入れの際には注意が必要です。
    毛玉は、生地表面が摩擦によって羽毛になり、その羽毛がいくつかの束になり、絡まりあうことで発生します。
    強度の強いポリエステル生地でできた毛玉は、自然にはなくならないため、こまめに取り除くことが求められます。
    毛玉の発生を避けるためには、繊維同士が絡まらないよう洋服ブラシを使ったり、裏返して洗濯したりするなど、摩擦を減らす工夫が大切です。
    できてしまった毛玉は、無理やり手で引きちぎらずに、毛玉取り器を使うかハサミで切るなどの手入れをしましょう。

    リサイクルポリエステルを利用した取り組み

    リサイクルポリエステルは、さまざまな用途に利用されています。ここでは、5つの用途について解説します。

    学生服や仕事のユニフォーム

    リサイクルポリエステルは、学生服や業務用のユニフォームに利用されています。通常のポリエステル同様に耐久性が高いため、何度も繰り返して使用する衣類に適しています。

    スポーツウェア

    リサイクルポリエステルは、スポーツ用のシャツや、ランニングシューズのソールなどに利用されています。軽量かつ速乾性に優れるため、大手スポーツブランドにも活用され、プロスポーツチームが採用するユニフォームなどにも人気があります。

    一般的な衣類

    リサイクルポリエステルは、ワイシャツやドレスシャツ、ニット帽など一般的な衣類に利用されています。シワになりにくいことから、大手紳士服専門店にも、リサイクルポリエステルを利用した製品がたくさん並んでいます。

    アパレル雑貨

    リサイクルポリエステルは、衣類以外にも幅広いアパレル雑貨に活用されています。例えば、紳士用ネクタイのような装身具、タープやテントなどのアウトドア用品、リュックサックのような登山用品などです。

    インテリア雑貨、その他

    リサイクルポリエステルは、床に敷くカーペットやラグなど、インテリア雑貨としても活用されています。今後は、食品接触を意図した器具・容器包装の材料としても、多くの活用が見込まれています。

    リサイクルポリエステルを作る手順

    マテリアルリサイクルによって、ペットボトルからリサイクルポリエステルを作る手順は、主に以下のとおりです。

    1. 原料となるペットボトルを収集する

    2. 異種材料や大きな異物を取り除く

    3. 収集したペットボトルを細かく砕き、洗浄、分離する

    4. 乾燥する

    5. 得られたフレークをそのまま利用、もしくは一度溶融してペレットを製造する

    6. 再生原料をリサイクルポリエステルの原料にする


    ケミカルリサイクルによって、ペットボトルからリサイクルポリエステルを作る手順は、主に以下のとおりです。

    1. 原料となるペットボトルを収集する

    2. 異種材料や大きな異物を取り除く

    3. 収集したペットボトルを細かく砕き、洗浄、分離する

    4. 乾燥する

    5. 得られたフレークにエチレングリコールを加えて解重合する

    6. 得られたテレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)を精製する

    7. 溶融重合により再びポリエチレンテレフタレートを得る

    8. 一度溶融してペレットを製造する

    9. 再生原料をリサイクルポリエステルの原料にする

    リサイクルポリエステルに関するよくある質問

    リサイクルポリエステルが製造過程や製品の特性としてもつ、メリットとデメリットを解説してきました。

    ここでは、リサイクルポリエステルを使用する上で、よく聞かれる質問を紹介します。

    ポリエステルを捨てるときはプラスチックごみ扱いですか

    ポリエステルやナイロンなど、使われている繊維がプラスチック素材であっても、洋服を捨てる際は「プラスチックごみ」ではなく「可燃ごみ」扱いです。
    自治体の指定ごみ袋へ入れ、中身が洋服だと知られたくないときは、透けないよう考慮してしっかりと口を縛って廃棄します。
    自治体によっては、衣類を「資源ごみ」扱いにする地域もあるため、自分の所属する自治体での廃棄方法を確認することが大切です。

    リサイクルポリエステルの他に、リサイクルに適さない服の素材はありますか

    リサイクルに適さない古着は、ゴム製品や革製品など、いくつかあります。ひどく汚れたものやリサイクルに適さない素材など、廃棄の種類が細かく分類されるため、自治体の定めるルールをよく確認して廃棄することが大切です。

    例えば、羽毛が含まれる衣服には再生ルートの確保ができていないことや、蛍光色の布や赤い布は発色が強すぎてリサイクル品の質を下げてしまうことなど、リサイクルが難しい理由はそれぞれ異なります。

    回収された洋服は分別を経て、中古衣料やウエス、反毛綿などへリサイクルされ、環境負荷軽減に貢献します。

    リサイクルポリエステル素材は汚くないですか

    リサイクルポリエステルを製造する際に、前述した汚れのひどい素材はリサイクルに使用されないため、リサイクルポリエステル素材は汚くないといえるでしょう。

    また、リサイクル工程では、リサイクル素材を原料に戻して溶かしたり粉砕したりして繊維にするため、洗浄工程も含めて汚れは除去されています。

    例えば、リサイクルされたペットボトルから本体のPET成分だけを取り出すために、キャップやラベルなどの付属物は、リサイクル前か工程内で異物として除去されます。

    まとめ

    リサイクルポリエステルは、プラスチックごみの低減や石油資源の節約への貢献など、多くのメリットがあります。また、リサイクルポリエステルを利用した取り組みも増えており、衣類やインテリア雑貨などにも活用されています。リサイクルポリエステルの活用の幅は、今後も広がることが期待できるでしょう。

    三菱ケミカル株式会社と王子ホールディングス株式会社のグループ会社である株式会社ユポ・コーポレーションでは、自社製品のリサイクルやリサイクル樹脂を活用した製品の開発に取り組んでいます。ご興味ある方は是非お問い合わせください 。

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