サステナブル素材とは何か|種類やそれぞれの特徴、使われているものを解説
サステナブル素材とは、環境に配慮し負担が少ない持続可能な素材です。近年、さまざまな業界からサステナブル素材が注目されています。この記事では、サステナブル素材について解説します。サステナブル素材の種類や特徴、メリット・デメリットなどについても解説するので、参考にしてください。

サステナブル素材とは何か
「サステナブル」は、英語のsustain(持続する)と、able(可能、~できる)が組み合わさった形容詞で、「持続可能な」を意味します。サステナブル素材は、天然素材とリサイクル素材、動物や人へ配慮された素材の3つに分けられます。また、サステナブルな素材は、持続可能な社会を実現するために、環境や社会課題に配慮した素材です。
地球環境に配慮された素材である
サステナブル素材は、地球環境に配慮されており、環境への負担が少ない素材です。例えば、環境負荷が少ない自然由来の原料を使っているものや、生産過程や廃棄過程で温室効果ガスの排出量が少ないものが該当します。
労働者にとって適正な環境で生産された素材である
商品の製造や販売において、児童労働や強制労働などが行われず、生産に携わる労働者が適正な労働環境で働くことで得られる素材も、サステナブル素材になります。労働環境が悪ければ、サステナブルとはいえません。
サステナブル素材が注目されている理由とは
サステナブル素材は、ファッション産業がきっかけで注目されるようになったといわれています。ファッション産業では長きに渡り、大量に衣類の生産や消費、廃棄を繰り返してきました。生産から廃棄までのサイクルの環境負荷が大きく、国連貿易開発会議からは石油産業に次ぐ環境汚染産業と指摘されています。
そのため、サステナブルな社会作りには、ファッション産業の仕組みを変革させることが必要になりました。
社会全体でサステナブルへの意識が高まっている
近年、気象変動や自然災害など環境問題の深刻化に伴い、社会全体がサステナブルに注目し、意識を高めています。サステナブルへの注目は企業にも影響を与え、積極的に環境配慮や社会貢献に取り組む企業が増えています。
サステナブル素材は大きく3つに分けられる
サステナブル素材には、代表的な種類が3つあります。以下で、それぞれについて詳しく解説します。
リサイクル素材
リサイクル素材とは、従来は廃棄されていたものを資源として再利用した素材です。リサイクルポリエステルや再生ウールなどが該当します。また、ポリエステルをはじめとした合成繊維を再利用する場合は、一度粉砕してから溶解し、繊維状にする方法が一般的です。
天然素材
天然素材とは、自然界に存在しているもので作られた素材です。天然素材の多くは、複雑な化学処理を施さずに使われ、合成化学工業由来の成分が少ないことが特徴です。土や水などの自然に還りやすく、ゴミの埋め立てや焼却などによる自然への影響が抑えられます。
社会課題を解決できる素材
社会課題を解決できる素材には、アニマルフリー素材や無水染色素材、フェアトレード商品があります。アニマルフリーは動物素材を使わないことで、ヴィーガンレザーや合成皮革などが該当します。ヴィーガンレザーは、リンゴやパイナップルの葉などを使い、本革と同じような見た目や質感を出した素材です。
無水染色は、水を使わずに染色する技術で、水質汚染の防止や水資源の確保につながります。フェアトレードは、開発途上国の労働者が作ったものを公正な価格で買い、お互いの国が貿易により豊かになる仕組みです。
サステナブル素材の具体例は
サステナブル素材には、どのような素材があるのでしょうか。ここでは、サステナブル素材に該当する以下の素材について解説します。
・再生PET素材
・古紙
・セルロース繊維
・バイオマス素材
・アニマルフリー素材
・無水染色素材
・オーガニックコットン
・フェアトレード商品
再生PET素材
再生PET素材とは、使用済みのペットボトルから作られたPETのことです。PETは、ポリエチレンテレフタレート樹脂のことで、ポリエステルの1種です。
衣類に使われるポリエステル繊維は、ペットボトルの原材料と同じ樹脂のPETを主原料としているため、再生PET素材を使ったTシャツやジーンズなど、多くのアパレル製品が作られるようになりました。
古紙
古紙とは、使用済みの紙のことです。日本では様々な古紙について回収からリサイクルまでの仕組みが確立されており、再生紙の原料として活用されて。ただし、全ての紙製品が古紙になるわけではありません。例えば、粘着紙やパウチ加工された印刷物など、コーティングやラミネート加工がされたものは、紙以外の素材と複合されているためリサイクルが困難です。
セルロース繊維
セルロース繊維とは、木材パルプなどの植物由来のセルロース原料から、化学的なプロセスで製造される繊維です。例としてはレーヨンが挙げられます。生分解性があり、適切な環境では微生物によりCO₂と水に分解されます。使用済みの紙製品や綿製品などを原料としたものは、再生セルロース繊維とも呼ばれています。
バイオマス素材
バイオマス素材とは、動植物を原料とする再生可能な有機性の天然素材です。原料の例としては、木材や海草などの植物性、プランクトンのような微生物性のもの、獣脂や動物の死骸などの動物性のもの、廃食用油や生ゴミ、ふん尿などの廃棄物由来のものなどが挙げられます。バイオマスプラスチックは、サトウキビやトウモロコシなど、比較的再生が容易な植物性原料から作られています。
アニマルフリー素材
アニマルフリー素材とは、毛皮(ファー)や羽毛(ダウン)、または皮革(レザー)などの動物性の原料を使わずに作られた代替素材で、合成皮革やヴィーガンレザーなどがあります。アニマルフリー素材は、非動物性の原料で作られているため、動物を屠殺しなくてもよく、持続可能な素材として注目されています。
無水染色素材
無水染色素材とは、水を使わず染色した布などの素材です。無水染色とは、超臨界状態の二酸化炭素を使って素材を染色する手法です。従来の手法で生地を染色する過程では、生地の汚れを落とす他にも、染料の定着、余分な染料や薬品の洗い流しなど様々工程で水を使用するため、大量の水が必要です。無水染色素材を使えば、水不足や廃水処理などの問題の解決に貢献できる可能性があります。
※参考:繊維王国・福井の技術力を背景に、水を使わない「超臨界流体染色」と「スマートテキスタイル」の開発に挑む|国⽴⼤学法⼈ 福井⼤学、株式会社フジックス
オーガニックコットン
オーガニックコットンとは、農薬や化学肥料など、土壌への負担が大きい化学薬品を使わずに作られた綿花です。農薬や化学肥料などの化学薬品を使わずに栽培することで、労働者の健康被害の解消にもつながります。オーガニックコットンは、天然素材のため廃棄後に土に還る素材であることも、特徴の1つです。
フェアトレード商品
フェアトレードとは、立場の弱い開発途上国で作られた原料や製品を、公平・公正な値段や条件で取引することで、生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みです。フェアトレード商品は、公平・公正な値段や条件で取引された商品を意味します。
フェアトレード商品を購入すれば、開発途上国は自らの力で貧困から脱却でき、地域社会や環境を守りながら、サステナブルな世界の実現を目指せます。
サステナブル素材が使われているものの具体例は
サステナブル素材は、実際どのようなものに使われているのでしょうか。ここでは、4つの例について解説します。
紙
紙は繰り返し使えることから、サステナブル素材といえます。日本では多くの再生紙製品が流通しており、トイレットペーパーや新聞紙、段ボールなどが該当します。
紙製品の多くは、原材料が木材(パルプ)です。適切に管理された森林は、木材を持続的に供給できます。また、森林はCO₂を吸収して生長するため、カーボンニュートラルに貢献する素材でもあります。
※参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略について|林野庁
衣服
衣服は、サステナブル素材を使った製品が多数存在します。例えば、日本のアパレルブランドである株式会社ユニクロでは、回収したペットボトルから作られたポリエステル素材を使い、衣服を作る取り組みを行っています。株式会社ユニクロは、リサイクルポリエステル素材を使うことで、石油資源の使用と廃棄物の削減に貢献しています。
※参考:リサイクル素材から生まれた服 | 服のチカラを、社会のチカラに。UNIQLO Sustainability
シューズ
サステナブル素材でシューズを作っている企業もあります。ナイキジャパンでは、さまざまなサステナブル素材を使ったシューズを取り扱っています。使われているサステナブル素材は、糸やプラスチック、テキスタイルなどをリサイクルしたものです。ナイキジャパンは、低炭素の代替素材の使用を増やすことで、環境への影響を軽減する取り組みを行っています。
「ユポ」
ユポ・コーポレーションの製品である合成紙「ユポ」は、サステナブルな選択肢と言えます。合成紙「ユポ」は、プラスチックフィルムと紙の特徴を併せ持つ合成紙です。主原材料には、ポリプロピレン樹脂と天然鉱物である石灰石由来の炭酸カルシウムが使われ、使用後は再生樹脂原料としてリサイクルできます。
ユポ・コーポレーションは、植物由来樹脂配合品の「ユポグリーン」シリーズや、プラスチック使用量を削減した「ユポエアー」を製造・販売しています。また、樹脂ボトルのラベルに使用した際に、ボトルの水平リサイクルに貢献するユポの開発を進めているなど、環境に配慮した取り組みを進めています。
企業がサステナブル素材を使うメリットとは
企業がサステナブル素材を使うと、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、2つのメリットについて解説します。
地球環境の保護に貢献できる
企業がサステナブル素材を使えば、地球環境への負担が減らせます。例えば、無水染色素材を取り入れた商品を生産すると、水資源の保護につながります。また、サステナブル素材を使うことで、サステナブル素材を作る企業の応援にもなります。
持続可能な社会の実現に役立てる
企業がサステナブル素材を使えば、生産者の労働環境を守ることにつながります。また、適正な労働環境への改善だけではなく、貧困層やコミュニティを保護することにもつながります。
企業がサステナブル素材を使うデメリットとは
サステナブル素材を使うことで、デメリットも発生します。ここでは、2つのデメリットについて解説します。
生産に多大な労力を費やす
サステナブル素材の多くは、従来の素材よりも生産に手間やコストを費やさなければなりません。多くのリサイクル素材は、廃棄素材を一度別の素材にしてから再加工します。手間がかかるだけではなく、環境に配慮した製造工程にするためにコストもかかります。
製品価格が高くなりやすい
サステナブル素材は、生産の手間や原料の単価がそれぞれ異なるため、製品価格が高くなる傾向にあります。また、従来の素材とサステナブル素材は、加工方法が異なることで製造コストが高くなる場合もあります。
まとめ
近年、環境問題や社会問題を意識する企業が増え、素材選びにも目を向ける傾向にあります。
サステナブル素材は、持続可能な社会を実現するために、さまざまな問題に配慮した素材です。サステナブル素材を検討している企業は、自社の戦略に合わせて、適切に取り入れてください。
株式会社ユポ・コーポレーションは、合成紙「ユポ」の製造販売を行っています。高い機能性を備えながらも、環境負荷の少ない点が、合成紙「ユポ」の強みです。国内No.1のシェア※を誇り、50年以上の実績があります。またユポは、セキュリティラベルの基材としても良く活用されています。転移タイプ・非転移タイプ・ぜい質タイプ、それぞれに向いた特性のラインナップがあることが特徴です。
※...合成紙市場における販売量(t)、(参考)矢野経済研究所「2022年版 特殊紙市場の展望と戦略」
「ユポ」は、脱プラスチックが難しい場合でも、プラスチック削減に貢献できる素材です。「ユポグリーン」シリーズは植物由来樹脂を配合しています。どちらも化石燃料由来のプラスチック使用量やCO₂排出量の削減につながる「環境負荷削減に貢献できる素材」としておすすめします。環境に配慮した素材をお求めの際は、ぜひお問い合わせください。
※「ユポ」「ユポグリーン」は株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
地球と人を大切にしていきたい。
当社はこれからも環境保全や環境負荷の削減を使命として社会に貢献していきます。