紙・合成紙のユポ・コーポレーション
更新 2025.06.05 公開 2024.05.08 コラム

薬品容器・包装に求められる特徴・材質とは?容器・栓・ラベルの選び方・注意点を解説

薬品に使用する容器を選ぶ際には、形状・材質・環境への優しさなどが気になります。この記事では、薬品容器の役割・種類・材質・薬品保存のために必要な特徴・注意点について解説します。

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目次

    薬品とは?

    薬品(化学物質)は、医療に用いられる「医薬品・医薬部外品」と、それ以外の「医薬用外薬品」の2つに大別されます。「医薬用外薬品」は、一般的な「化学薬品」であり、化学工業用薬品や染料・染料用薬品、農薬・農業用薬品などに細分されます。

    医薬品

    薬機法では、医薬品を「日本薬局方に収められているもの」「人または動物の身体や機能に影響を及ぼすこと、疾病の診断・治療または予防に使用することが目的のもの」と定義しています。医師が処方する薬はもちろん、薬局で販売されている風邪薬なども、医薬品に該当します。

    化学薬品

    化学薬品は、「医薬品・医薬部外品」と「医薬用外薬品」の2つに分類されます。「医薬用外薬品」は、さらに化学工業用品や染料・染料用薬品などに分けられます。化学薬品には、水酸化カルシウム(消石灰)などの固体から、過酸化水素水やアンモニア水といった液体、プロパンガスのような気体など、さまざまな性状や形状・状態のものが含まれます。

    薬品の容器とは?

    「第十八改正日本薬局方通則42」では、薬品の容器とは、「医薬品を入れるもの」と定義されています。栓、蓋なども容器の一部となります。薬品に規定された性状及び品質に対して、溶けない・反応しないなど、物理的・化学的作用を及ぼさないことが求められます。

    薬品の容器の役割

    薬品の容器の役割として、薬品の変質防止、安全な輸送、薬品の利便性の向上などがあげられます。3つの役割について解説します。

    薬品の変質を防ぐ

    薬品の容器の役割は、薬品の変質を防ぐことです。薬品には、外気・日光などの影響で、変質してしまうものがあります。長期間の保存に対応し品質を維持することや、異物混入・内容物の風解・潮解・蒸発を防ぐことなどが、容器に求められます。

    安全な輸送を可能にする

    薬品の安全な輸送を可能にすることも、薬品の容器の役割です。運搬時に、内容物がこぼれ出たり、漏れたりしてはいけません。また、梱包しやすい形状であること、取り出しやすいこと、持ちやすい形状であることなども求められます。

    薬品使用の利便性を向上させる

    薬品の容器には、薬品使用時の利便性を向上させる役割もあります。投与に役立つ機能が付加されている、薬品の出し入れがしやすくなっている、内容物の損失を防止する工夫がされている、などがあげられます。

    薬品の容器の種類

    薬品の容器は、密閉容器・気密容器・密封容器の3種類に分類することができます。内容物の漏出や、異物の侵入、またそれによる内容物の変質を防ぐ特性によって区別されます。3種類の薬品容器について解説します。

    密閉容器

    密閉容器は、固体の異物の混入が防げる容器です。紙箱や紙袋が代表的な密閉容器で、外部からの遮断度は高くありません。薬品を直接入れる容器としてではなく、薬品を入れた容器の外箱などとしてよく利用されます。

    紙の密閉容器は、液体や空気中の湿気の侵入を防げないため、湿気に弱い薬品の容器には向いていません。中身を取り出したり、持ち運びしたりしやすいほか、安価で手軽に利用できるため、粉末や顆粒の処方薬の包装などによく使用されています。

    気密容器

    気密容器は、固体と液体の異物の侵入が防げる容器です。容器内の医薬品の損失・風解・潮解・蒸発などが防げます。ガラス瓶・缶・プラスチック容器・医薬品包装(PTP包装・SP包装)などが、代表的な気密容器です。

    様々な薬品の保存に、気密容器が利用されています。気体の混入を防げないため、酸化しやすい薬品などの容器には向いていません。

    密封容器

    密封容器は、固体・液体・気体の異物の侵入が防げる容器です。高い気密性があるため、酸化しやすい薬品などの保存に向いています。注射剤を入れるための容器として良く使用されるバイアル・アンプルや、ヘアスプレー・殺虫剤や、喘息等の吸入薬の容器に使われるエアゾール缶が、代表的な密封容器としてあげられます。

    微生物の侵入を防ぎ、無菌状態を保てるので、バイアル・アンプルは医薬品によく使われています。ガラス製のアンプルは、取り扱いが難しいため、医薬品以外では使われることが少なくなっています。

    薬品の容器の材質

    薬品の容器として使われる主な材質として、PTP包装・ガラス・プラスチック・アルミがあげられます。薬品の容器として使われる材質の特徴について解説します。

    PTP包装

    PTP包装は、錠剤を安全かつ衛生的に、保管・携帯できる包装方法です。錠剤を入れる凹部のあるプラスチックシートを、アルミでシールした気密容器です。液体や光を遮断でき、湿気・紫外線による変質が防止できます。高齢者や子供が薬といっしょにPTP包装シートを飲みこむ事故が起きており、必要に応じ予防対策をとりましょう。

    ガラス

    ガラスは、耐薬品性が高く、薬品容器としてよく使われます。割れやすいため、扱いに注意が必要な素材でもあります。光を通すため、光による内容物の劣化の可能性があることに注意が必要です。対策として、ガラスへの着色や、遮光性のある紙などでガラス容器を覆うことも行われています。密封性も高い素材と言えるでしょう。

    プラスチック

    プラスチックも、薬品容器に使われることの多い材質です。プラスチックの種類により特徴は異なりますが、大まかには衝撃に強い、軽い、安価に大量に容器を作れる、といった特長が、プラスチックの長所です。一般にガラスや金属と比較すると熱に弱い短所があります。薬品容器としては、酸やアルカリなどへの耐性をはじめ、耐薬性が高いポリエチレン・ポリプロピレン・フッ素樹脂などが良く使われています。内容物により、溶解や変形しないプラスチックであることを確認したうえでの使用を心がけましょう。

    アルミチューブ

    アルミチューブは、クリーム状の薬品の容器(チューブ)として使われることの多い包装容器です。アルミとプラスチックフィルムを貼り合わせたアルミラミネートチューブが主流で、医薬品や化粧品の容器として使われます。紫外線・空気・水から内容物を保護できるだけでなく、携帯しやすく便利です。金属とプラスチックの複合素材であるため、リサイクルが難しい点が課題です。

    薬品保存のために必要な容器の特徴

    薬品保存に適応する容器の特徴として、耐薬品性・防湿性・気密性・遮光性・利便性・環境負荷低減の6つをあげ、詳しく解説します。

    耐薬品性

    耐薬品性とは、薬品に対する耐久性のことです。容器の耐薬品性は薬品によって異なるので、収納する薬品に合う容器を選択することが重要です。例として、ポリエステル(PET)は一般的に酸やアルカリに弱いと言われており、容器が溶ける恐れがあります。容器の選択時には、保存する薬品に対する耐薬品性を確認しましょう。

    「テフロン」(PTFE)は非常に耐薬品性が強い反面、自然界で分解されないため、昨今はPFAS として規制が議論されており、規制の動向に注意が必要です。

    防湿性

    防湿性とは、水分の透過を防ぐ性質のことです。水分・湿気によって変質する可能性がある薬品には、防湿性のある容器が必要となります。吸湿性の高い薬品の場合は、防湿性の高い容器を使うだけでなく、防湿剤を合わせて使うことも選択肢の一つです。

    気密性

    気密性とは、本来の単語の意味としては、気体を遮断することを意味します。一方で医薬品の容器としての「気密容器」は、気体の侵入は防ぐことができません。気密性があると、内容物の風解・潮解・蒸発・異物混入を防ぐことができます。液体の薬品の蒸発を防ぎたい場合には、気密性容器を使うことがあります。

    医薬品に限らず化学薬品を含めた場合、笑気ガス・酸素ガス・プロパンガスなどの気体の保存には、気密性のある容器(ボンベ)が必要です。金属ナトリウムなどは、大気中の水分・酸素などとも反応するため、保管には気密性が必要です。内容物の風解・潮解・腐敗などの防止であれば、防湿性容器で十分な場合もあるため、用途に応じた容器選びましょう。

    遮光性

    遮光性とは、薬品を変質させる可能性のある、光の透過を遮る性質のことです。薬品のなかには、紫外線など特定の光に弱く、変質・劣化してしまうものがあります。このため、遮光性を付与するために、着色したガラスやプラスチックを薬品の容器に使うことが行われています。紫外線に対する遮光性は、色によって異なり、青・緑・茶・黒の順に、広い範囲の波長の紫外線に対する遮光性を持たせることができます。遮光性の高い薬品の容器としては、アルミチューブがあげられます。

    利便性

    利便性には、便利さ、使いやすさなどの意味があります。開閉のしやすさ、持ちやすさ、携帯しやすさ、梱包や輸送のしやすさなど、薬品の容器には利便性が欠かせません。小児による誤飲などの事故を未然に防ぐために、容易に容器から薬品を取り出せない工夫なども必要です。

    環境負荷低減

    薬品の容器を使用する際には、リサイクル性など、環境負荷低減に対する配慮もあるとよいでしょう。環境負荷低減とは、人が生活する上で排出される廃棄物などを減らすことで、地球環境への負担を減らすことです。

    栓・蓋・ラベルの材質において注意すべきポイント

    容器として忘れられがちな、栓・蓋・ラベルなどの材質にも注意が必要です。栓・蓋・ラベルの材質について気をつけるポイントを解説します。

    薬品によって変質しないか

    栓・蓋・ラベルには、薬品が付着することがあります。栓・蓋は、頻繁に薬品に触れます。ラベルは、液漏れや液だれがおきたときに、薬品が付着することもあります。栓・蓋・ラベルの材質にも、薬品の容器本体と同様に、薬品によって変質しないことが求められます。

    環境に優しく容器ごとリサイクル可能か

    薬品の容器は、不要になった際の廃棄による環境への影響を考慮する必要があります。リサイクル可能な材質を、容器に使用することが望ましいでしょう。また、栓・蓋・ラベルを分別せずに、容器といっしょにリサイクルするための配慮も重要です。

    薬品のラベルには耐薬品性・耐水性に優れる合成紙「ユポ」がおすすめ

    ユポは、耐薬品性が良好で、酸・アルカリ・油およびアルコールなどにも強い素材であり、薬品ラベルに向いた素材と言えます。ユポは、粘着加工品と特定のラベル用レーザープリンターの組み合わせで、海上輸送用のGHSラベルに関する英国規格「BS5609」で最も厳しいセクション3の認証を取得しています。そのため、厳しい環境に耐えることを要求される、化学薬品などの海上輸送ドラム缶用ラベルにも最適です。

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    まとめ

    薬品容器は、ガラス・プラスチック・アルミチューブなどの材料で作られています。薬品容器には、耐薬品性・防湿性・気密性・遮光性・利便性・環境負荷低減などが求められます。薬品容器は、変質せず、環境に優しいものを選びましょう。

    株式会社ユポ・コーポレーションは、合成紙「ユポ」の製造販売を行っています。高い機能性を備えながらも、環境負荷の少ない点が、合成紙「ユポ」の強みです。国内No.1のシェアを誇り、50年以上の実績があります。

    ※...合成紙市場における販売量(t)、(参考)矢野経済研究所「2022年版 特殊紙市場の展望と戦略」

    「ユポ」は、脱プラスチックが難しい場合でも、プラスチック削減に貢献できる素材です。「ユポグリーン」シリーズは植物由来樹脂を配合しています。どちらも化石燃料由来のプラスチック使用量やCO₂排出量の削減につながる「環境負荷削減に貢献できる素材」としておすすめします。環境に配慮した素材をお求めの際は、ぜひお問い合わせください。

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    地球と人を大切にしていきたい。
    当社はこれからも環境保全や環境負荷の削減を使命として社会に貢献していきます。

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