ハザード マップにはどのような種類がある?選び方や見方と合わせて解説
日本は地震や津波、台風、火山の噴火などさまざまな災害リスクがあります。自治体では、リスクを軽減するためにハザードマップが作成されていますが、さまざまな種類があることを知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では、ハザードマップの種類や見方、使い方を解説しています。生活している地域の万が一の場合に備え、参考にしてください。

ハザードマップとは?
ハザードマップとは、災害による危険な場所や避難経路、避難場所の情報を地図上にまとめたもので、各自治体が災害の種別ごとに作成しています。居住地域や勤務先周辺で災害が発生した際の災害リスクを事前に把握することができ、避難計画や防災対策に用いることで災害による被害の回避や軽減が期待できます。
ハザードマップは、市区町村役場の窓口やホームページ、国土交通省のハザードマップポータルサイトなどから入手できます。
ハザードマップの9つの種類
ハザードマップには9つの種類があります。どのような場合に用いられるものなのか、解説します。
1.洪水ハザードマップ
洪水ハザードマップとは、洪水のリスクを示す地図です。大雨などによる河川の氾濫や堤防の決壊によって洪水が発生した場合に、浸水がどれだけの範囲に及び、どれだけの深さになるかが記載されています。また、避難場所や避難経路なども確認できるようになっています。
自宅のある場所や職場が浸水する可能性がある住民が、避難場所や避難経路を事前に把握できるようになっています。2021年2月には、中小河川も作成対象として義務化する方針が示されました。それにともない、対象の河川が従来の約2,000から約15,000に増加する見込みです。
2.内水ハザードマップ
内水ハザードマップとは、大雨による排水用の水路や小河川、下水道からの浸水リスクを示す地図です。大雨などによって下水道への流入量が排水能力を超えてしまい、川へ放流しきれずに浸水することを内水氾濫といいます。内水氾濫は、地中に水がしみこみにくい都市部で発生しやすい傾向があります。
内水ハザードマップには、内水氾濫が予想されるエリアや、避難所に関する情報などが記載されています。。そのため、住民が居住地や職場周辺の危険性を把握することや、浸水が想定される場合は止水板や土嚢など防災品の準備や設置を検討すること、避難所までの経路の確認することなどができるようになっています。
3.津波ハザードマップ
津波ハザードマップとは、津波発生時のリスクを示す地図です。津波被害が発生する恐れのある地域では、地域ごとに想定される地震や津波の規模に応じて、津波ハザードマップが作成されています。内容は自治体によって異なるものの、津波被害の範囲や浸水被害の深度、施設の危険度などが記載されています。
4.高潮ハザードマップ
高潮ハザードマップとは、高潮発生時の浸水を想定した地図です。高潮が発生した場合に予測される浸水範囲や到達高さが記載されています。高潮とは、台風や低気圧の接近によって海水が吸い上げられ、海面の水位が高くなる現象です。高潮が発生すると、低い土地が浸水する恐れがあります。高潮と満潮の時間が重なると、被害が大きくなりやすくなります。
また、高潮は海岸付近のみならず河川に沿って内陸に遡上するケースもあり、海に面していない自治体であっても作成されている場合があります。高潮が想定されない内陸の自治体では、作成されません。
5.ため池ハザードマップ
ため池ハザードマップとは、大雨でため池が決壊した際の浸水について記載された地図です。ため池とは、おもに農業用水として使用するために水を蓄えている人工池です。
決壊した際に被害を及ぼす可能性がある「特定農業用ため池」を対象として作成が進められ、浸水区域や浸水深さ、避難場所などについて記載されています。農業が盛んな地域や、ため池が多い地域で作成されています。一方、農業用ため池がない都市部では作成されていません。
6.土砂災害ハザードマップ
土砂災害には大きく分けて、がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、土石流、地すべりの3種類があります。土砂災害ハザードマップとは、これら土砂災害に関するリスク情報や、避難に関する情報が記載されるものです。土砂災害ハザードマップは、土砂災害防止法第8条第3項に基づき自治体が作成します。
土砂災害ハザードマップとは、地形や地質情報などから土砂災害の発生が想定される区域が記載された地図です。土砂災害ハザードマップ内には、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の2種類が表記されます。
土砂災害警戒区域は、土砂災害発生時に住民の生命または身体に危害が生ずる恐れがある区域が指定されます。また、土砂災害特別警戒区域は、建築物の損壊が生じ住民に著しい危害が生ずる恐れのある区域が指定されます。土砂災害特別警戒区域では、都道府県知事の開発許可がないと、当該宅地の販売広告や売買契約が行えません。
土砂災害ハザードマップは、土砂災害警戒区域がない自治体では作成されません。
※参考:土砂災害とは
7.地震ハザードマップ
地震ハザードマップとは、大規模地震が発生した際のリスクを示す地図です。地震の揺れの強さや建物倒壊の度合い、液状化のような地盤被害について記載されています。液状化現象が発生すると、ライフラインへの被害や宅地周囲に生じた段差などによって、住み続けられないこともあります。
地震ハザードマップには、想定される建物被害の割合や棟数などが示されているケースもあります。自治体によって想定する地震や被害の規模が違ったり、表示方法が異なったりしますが、自治体のなかで揺れやすい地域かどうかの目安となります。
8.火山ハザードマップ
火山ハザードマップとは、噴火による被害の発生が予想される範囲や避難すべき地域、避難場所が記載された地図です。噴火によるリスクには、火山を原因として発生する火砕流や噴石の落下、土石流、火山性ガスおよび融雪型火山泥流などがあり、噴煙や降下火山灰による広範な被害や火災なども想定されます。
日本は世界有数の火山国であるため活火山の数が多く、全国で111を数えます。火山ごとにハザードマップが作成されており、噴火の規模によっては、火山から離れた地域にも被害が出る恐れがあります。
9.大規模盛土造成地マップ
大規模盛土造成地マップとは、造成地の変動予測や危険度を示す地図です。大規模盛土造成地とは、谷や沢を埋め立てて造成したり、斜面を盛土によって造成したりした一定規模以上の造成地です。造成前後の地形図を重ね合わせて、大規模盛土造成地の概ねの位置と規模を示しています。
大規模盛土造成地は、大雨時や地震発生時に滑動崩落が生じ、地すべりやがけ崩れ、土砂流出が発生する恐れがあります。当該地および、下流域に大きな被害が生じるリスクが想定されます。
参考:大規模盛土造成地マップ
ハザードマップを見る際の4つの手順
ハザードマップは種類が多く、さまざまな情報が載っているため、正しい手順で見ることが重要です。
1.確認したい災害のハザードマップを選ぶ
まずは、確認したい災害の種類に当てはまるハザードマップを選びましょう。水害であれば洪水ハザードマップや内水ハザードマップ、高潮ハザードマップなどが当てはまります。地震であれば、地震ハザードマップや津波ハザードマップなどが当てはまります。
2.確認したい地域を確認する
ハザードマップ上で、確認したい地域を確認します。ハザードマップには地形や高低差なども記載されていますが、これは、地形や高低差によって災害の種類やリスクが異なるためです。一般論として、海や川の近くでは水害のリスクが大きく、山の近くでは土砂災害のリスクが大きくなります。
3.ハザードマップの色を確認する
ハザードマップでは、災害時に被害が想定される範囲や影響によって、エリアが色で区別されています。色がない部分は災害のリスクが小さいエリア、色がある部分はリスクが想定されるエリアです。色があるエリアのなかでもリスクの度合いが数段階に分けられているため、確認したい場所の色を確認しましょう。リスクの度合いが高い場所では、災害時の迅速な判断や行動が重要です。
4.避難場所・経路を認識する
ハザードマップには、避難場所や避難経路が記載されています。災害が発生した際に、迅速かつ安全に避難するため、住民にはあらかじめそれらを認識してもらうとよいでしょう。ただし、災害の種類によって、避難場所や避難経路が異なる場合があるため注意が必要です。
ハザードマップの使用方法
ハザードマップは、自治体と住民ともに活用することが重要です。具体的な、2つの使用方法を解説します。
リスクと避難先の確認
想定される災害の種類ごとにハザードマップを見て、自宅や勤務先、その周辺の危険箇所を確認します。災害によって危険箇所やリスクの度合いが異なり、避難のタイミングも異なってくるため、避難場所や経路、タイミングを事前に想定しておきましょう。
防災グッズの用意
発生リスクのある災害を知ることで、必要な防災グッズの準備にも役立ちます。具体的には、水害が予想されるエリアでは土嚢、噴火が予想されるエリアでは防塵マスクやゴーグルがあると安心です。
紙のハザードマップには合成紙「ユポ」がおすすめ
ハザードマップを印刷して配布する場合、素材にはユポがおすすめです。ユポは、ポリプロピレン樹脂と天然の鉱物である石灰石由来の「炭酸カルシウム」から作られているフィルム法合成紙です。
耐水性に優れ、破れにくく色鮮やかに印刷できるため、地域ごとのリスクの色分けや、避難経路などが見やすいハザードマップを制作できます。雨風にさらされても破れにくい丈夫さから、大雨時や災害発生後の使用に適したハザードマップを作りやすい素材、と言えます。
まとめ
ハザードマップは、災害発生時の危険な場所や避難場所などの情報を地図上にまとめたものです。各自治体が、災害の種別ごとに必要なものを作成します。さまざまな種類があるため、各自治体では万が一に備えて準備しておきましょう。災害はいつ訪れるかわからないため、事前の備えが重要です。
ハザードマップの用紙には、ユポがおすすめです。代表的な合成紙の一種で、破れにくいうえ色鮮やかに印刷できます。災害発生時にも問題なく使用できるでしょう。
株式会社ユポ・コーポレーションは、ユポの製造販売を行っています。高い機能性を備えながらも、環境負荷の少ない点が、ユポの強みです。国内No.1のシェア※を誇り、50年以上の実績があります。
※...合成紙市場における販売量(t)、(参考:)矢野経済研究所「2022年版 特殊紙市場の展望と戦略」
ユポは、脱プラスチックが難しい場合でも、プラスチック削減に貢献できる素材です。「ユポグリーン」シリーズは植物由来樹脂を配合しています。どちらも化石燃料由来のプラスチック使用量やCO₂排出量の削減につながる「環境負荷削減に貢献できる素材」としておすすめします。環境に配慮した素材をお求めの際は、ぜひお問い合わせください。
※「ユポ」「ユポグリーン」は株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
地球と人を大切にしていきたい。
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