反射率とは?反射率とものの見やすさの関係・反射率の高い素材
反射率とは、物質が光を反射する度合いを示した数値です。素材の反射率は、物質の直接的な見えやすさや映り込みの回避に関係します。さらに反射率を活用した安全グッズや、FPD(フラットパネルディスプレイ:液晶テレビなど)や照明器具、光で野菜などを育てる植物工場などに活用されます。反射率と素材の関係と、反射率を素材に活用する方法を解説します。

反射率と各基礎用語の概要を紹介
光は、物質に入射する(当たる)と、反射、透過、吸収という3つの現象を起こします。
反射は正反射と拡散反射に分かれており、一般に反射率とは、入射した光の量(光束)に対し正反射した光の量の割合です。同様に透過率、吸収率を定義すると、以下の関係が導かれます。
反射率+透過率+吸収率=100%
光の反射率を調節するには、素材の透過率や吸収率を調節する、表面の滑らかさを変化させるなどの方法が用いられます。
また、光の反射率をRとすると、単層膜の反射においては、屈折率nを用いて求められます。
R=(1-n)^2/(1+n)^2 (フレネルの式)
屈折率とは、真空中の光速を物質中の光速で割った値であり、対象物によって決まる物性値です。
正反射・拡散反射・全光線反射
正反射とは、入射した光束のうち反射の法則に従い入射角と等しい角で反射することです。鏡面反射とも呼ばれ、これは光が同一の方向に反射して反射光による像が観測される現象です。
拡散反射とは、反射光において反射の法則にしたがわず拡散光として反射することを指します。光の散乱とも呼ばれます。
全光線反射は、正反射と拡散反射を合わせ、全光束のうちどの程度の割合で光が反射したかを表す数値です。表面に光沢のある素材では正反射率が高く、ざらついた素材では拡散反射率が高くなる傾向があります。
透過率・吸収率
透過率は、物質の表面で反射せず内部に入る光束の割合です。透過光は屈折の法則に従い、物体表面で向きを変化させて物質内を透過します。主にグラスファイバーに活用されています。
吸収率は、反射や透過を起こさず、物質に吸収される光の割合です。光は粒子性と波動性を併せもっていて、波長に比例したエネルギーをもちます。このエネルギーが物質に吸収される割合が吸収率です。
理論上、透過率と吸収率に反射率を加えると100%になります。
反射率と見やすさの関係
反射率は、物質の見やすさに関係します。正反射が大きい物質は像を結び、散乱反射によって物体は視認しやすくなるためです。
一方、反射率を低くすると、鏡面反射を避けたり映り込みを避けたりする効果が得られます。
反射率が高いものは暗い場所でも見やすい
反射率が高い物質は、光をよく反射するため暗い場所でも見やすい点が特徴です。この性質から、反射率の高い素材は交通標識やバイクや車の背面、子どもやお年寄りの鞄などに貼付する安全シートなどに使用されます。
反射率を高めた反射シートは、交通安全グッズや防犯グッズにも活用されています。自ら光を発しませんが、暗いところでも限られた光を反射して視認度を高める効果をもつ製品です。
反射率が低いと映り込みを避けられる
反射率を低く抑えると、透過率が上がって映り込みを防ぎます。
一般に表面が滑らかで光沢があると反射率が上がり、表面に凹凸が多いと反射率は下がります。表面加工による反射率の調節は、古来より行われてきた手法です。
一方、同じガラス面であっても、ショーウインドウに使われるガラスは反射率を抑え内部からの透過光が見やすくなる加工がされています。この調整は、ガラスの内部素材によって変更が可能です。
反射率が低いと散乱反射を避けられるため、交通安全面ではドライバーの視認を妨げない効果もあります。
主な素材の反射率
主な素材の反射率を以下に示します。
材料種類 |
素材 |
反射率(%) |
正反射性材料 |
銀面 |
93 |
ガラス鏡面 |
80~85 |
|
金、クロームなど |
60~70 |
|
銅、鋼 |
50~60 |
|
透明ガラス |
10~12 |
|
水面 |
2 |
|
拡散性材料 |
炭酸マグネシウム |
98 |
艶消しアルミ |
60~80 |
|
乳色ガラス |
60~70 |
|
白色ペイント |
80~85 |
|
白紙、ケント紙 |
70~80 |
反射率の測定方法
反射率の測定では、試料に光を照射し、試料が反射した光を測定します。測定方法に応じて相対鏡面反射測定と相対拡散反射測定、相対全光線反射測定に分かれます。
相対鏡面反射測定は、試料に光を照射し、入射光と対象に反射した鏡面反射光を測定する手法です。ミラーや金属表面のような試料の測定に有効とされます。
相対拡散反射測定は、拡散反射光を、積分球を使って測定する手法です。表面が滑らかでない試料を測定する際に使われます。測定では、入射光を球状の積分球の内部に設置された試料に当て、内部のセンサーで光量を測定します。正反射光は入射部分から外に反射するため、測定されません。
相対全光線反射測定は、積分球を用いて、拡散反射光だけでなく鏡面反射光も測定する手法です。
研究や工場で活用される反射率の高い金属板
反射率の高い金属板は、反射率を維持したまま切断、版金、プレス加工ができる利便性があり、光沢を必要とする装飾部材や照明用反射板などに用いられています。
主な素材はアルミニウムで、表面にアルマイト処理(基本的な防錆処理)だけを施したものや研磨処理で高い光輝度を与えられるものがあります。いずれも高い反射率が実現可能です。
高純度アルミニウムと酸化被膜を蒸着した製品や、表面被膜に純銀を用いた製品だと、反射率が90%を超えるものもあります。
研究や工場で活用される反射率の高いシート
シート状に加工された光反射シートは、視認性の高さから防犯や交通事故防止に使用されます。反射シートは子どもや老人が使う安全グッズや、バイクや車の視認性を上げるアイテム、交通標識などに活用されています。
反射シートは、照明の反射板にも利用できます。照明器具の内側に設置すると、反射シートが光を反射して光源としての効率を高めます。
また反射シートは、植物工場で光を効率よく植物に当て、電気代等のコストダウンを図るために利用されています。反射シートの多くはハサミやカッターで簡易に加工できるため、施工可能範囲が広く、細かい部分に設置ができます。同様に、少ない電力で明るさを維持できる点から、二酸化炭素の削減分野でも活用されています。
まとめ
素材の反射率を活用すると、反射率を高めて視認性を上げる、反射率を抑えて映り込みを防ぐ、光を有効的に利用し、省エネに役立つなどの効果が得られます。
最後に、特殊製法により高い反射率をもち、耐久性と耐UV性にも優れた商品、ユポを紹介します。照明器具や植物工場内の反射シートととして、数多くの採用実績があります。機能材料や建築資材としても活用可能です。興味のある方はぜひお問い合わせください。
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※「ユポ」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
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