紙・合成紙のユポ・コーポレーション
更新 2025.06.04 公開 2024.10.01 コラム

熱転写とは? プリンタやラベルの種類、メリット・デメリットを解説

熱による転写の方法を熱転写といいます。転写にはさまざまな方法があり、どれを選べばよいか分からない人もいるでしょう。 この記事では、熱転写の種類や特徴、メリットやデメリットを紹介します。正しい知識を身につけて、適切なプリントを選べるようになりましょう。

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目次

    熱転写とは「熱でインキを溶かし紙に写す仕組み・印刷方式」

    熱転写とは熱によってインキを溶かし、圧力によって紙に転写する印字の方法です。熱で溶けたインキが冷え固まり、印刷物として定着します。転写時は、デザインがあらかじめ印刷されたラベルを用意します。熱転写で用いるラベルは、複数の層から構成されている点が特徴です。一般的に熱転写とは溶融型を指しますが、昇華型もあります。 

    昇華転写方式との違いは転写方法

    熱転写では溶融型が広く用いられますが、昇華型という方法もあります。溶融型はインキを熱で溶かして液化したものを転写します。一方、昇華型はインキを熱で気化させる点が違いです。それぞれの特徴に応じた使用が望ましいでしょう。
    溶融型のメリットは耐久性や再現性です。バーコードのような正確さが要求されるものに使用されます。ただし、基本的にはモノクロの印刷のみです。
    昇華型の強みは、発色や濃淡などの色彩表現です。衣類に使われることもあります。

    直接感熱方式との違いは対応素材が感熱紙のみ

    転写の方法は、熱転写だけではありません。直接感熱方式があります。
    直接感熱方式とは、インキではなく感熱紙に熱を加える印字の方式です。熱を加えると感熱紙が変色して印刷物となります。変色はほとんどが黒色であり、モノクロ印刷でも構わないレシートや切符に使用されます。
    熱転写方式と異なりインキリボンが不要であるため、コストを低く抑えられる点がメリットです。ただし、退色しやすく耐久性に劣るデメリットがあります。 

    ラベル素材の種類

    熱転写では紙とインキリボンが必要です。紙の種類や特徴を以下の表にまとめました。

    紙の種類・特徴

    ・上質紙
    押印や筆記に強みがあるが、表面が滑らかでないため、正確さが要求されるバーコードや小さな文字などには適さない。

    ・コート紙
    インキの定着性や保存性に強みがあるため、物流での荷札やタグとして活躍することが多い。

    ・合成紙(ユポ)紙
    耐水性や強度に強みがあるため、製造業や物流ラベル、食品ラベルなどで幅広く使用される。「合成」の名前が示すように、紙とプラスチックの特徴を併せ持っている。

    ・PETフィルム紙
    プラスチック素材であり、耐熱性や耐薬品性に強みがある。電化製品に用いられることが多い。

    合成紙(ユポ)は、
    紙とプラスチックの利点を併せ持つ非常に優れた素材といえるでしょう。

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    インキリボンの種類

    インキリボンにはワックス系・セミレジン系・レジン系の3種類があります。ラベル素材ごとによって向き不向きがあるため、知識をつけたうえで最適なものを選びましょう。それぞれの特徴は以下の通りです。

    インキリボンの種類・特徴

    ・ワックス系
    上質紙やコート紙などの紙ラベルと相性がよい。転写性に強みがあるものの、耐熱性や耐摩擦性は弱い。

    ・セミレジン系
    紙ラベルや合成紙ラベルへの印字に用いられる。転写性はもちろんのこと、耐久性もワックス系に比べて高い。

    ・レジン系
    合成紙ラベルやPETフィルム紙ラベルなどのプラスチックラベルに使用される。性能面ではワックス系やセミレジン系より優れているが、費用がかかる。

    熱転写のメリット

    熱転写のメリットを解説します。デザインへの対応幅の広さや、耐久性、色の鮮やかさなどが主なメリットとしてあげられます。

    さまざまなデザインに対応している

    熱転写ではさまざまなデザインに対応できるほか、印刷物に応じて印刷情報を変更したり、印刷の大きさを変えたりできます。
    このような柔軟性は、インキリボン・ラベル・下地の素材を組み合わせることで実現できます。感熱紙に熱を直接加えて印字する直接感熱方式とは大きく異なる点といえるでしょう。
    また、下地の影響を受けにくく、多くの素材に対して綺麗に仕上げられます。

    消えにくく長持ちする

    熱転写で印字した印刷物は、耐熱性や耐溶剤性に優れています。日光や雨にさらされる環境に置かれても印字が消えにくく、長持ちする点がメリットです。屋外の現場や溶剤を扱う研究所などで使用されています。
    また、保存性が優れており長期間保管に向いています。長期間展示するポスターや広告などの印刷には、熱転写が適しているでしょう。

    昇華熱転写の場合はフルカラーで色彩が豊かに仕上がる

    昇華熱転写は、熱で気化させたインキを紙上で受容し定着させる方式であり、フルカラーの印刷が可能です。
    基本的にモノクロ印刷である溶解型と比べると色彩が豊かであり、カラフルに仕上げたい印刷物に向いています。特に、色合いを強調したい広告や出版物の表紙の印刷におすすめです。

    小ロット・短納期に向いている

    熱転写はプリンタを用いた印字方式であり、印刷に版は必要ありません。そのため、少量を短期間で作る場合に向いています。
    これに対し、印刷機を用いたオフセット印刷やシルクスクリーン印刷といった従来型の印刷方法は、版を必要とする印刷方法であり、大量の印刷には向いていますが、版を作る時間とコストが必要になります。
    熱転写は印刷に版を必要としないため、費用も、シルクスクリーンと比べると半額程度で済みます。
    熱転写は、少しだけ印刷したい、なるべくはやく印刷物を完成させたいときにおすすめの方法です。

    熱転写のデメリット

    熱転写にはデメリットも存在します。メリットとデメリットをよく理解したうえで、自分のニーズにあった印刷方法を選択しましょう。主なデメリットとしては、コスト、素材やデザインへの影響があげられます。

    コストがかかる

    熱転写は、シルクスクリーンよりは安く済みますが、直接感熱方式と比べるとコストがかかります。
    フィルムやインキリボンなどを買い換えることによるランニングコストが発生するためです。加えて、プリンタのメンテナンスも必要です。
    熱転写を利用するときは、1回の印刷にかかるコストだけでなく、こうした備品や維持にかかる費用も検討しましょう。

    昇華熱転写の場合素材の良さがなくなる

    昇華型の熱転写は、素材の良さがなくなる点がデメリットです。
    昇華型で熱転写をするとプレス跡が残り、生地の見た目に影響が出る恐れがあります。転写の特性上、素材感を失ったり印刷面の通気性が悪くなったりする可能性も生じます。
    ただし、溶融型にはこのようなデメリットはありません。気になる方は溶解型を選択しましょう。

    昇華熱転写でも表現できないデザインもある

    昇華熱転写は色彩表現が豊かであり、さまざまなデザインに対応できます。しかし、表現できないデザインも存在します。
    たとえば、カットライン・縁・ラメ・金銀・蛍光カラーなどは、完全な再現は難しいといえるでしょう。これらのデザインに関しては、ある程度妥協をするか、違う表現方法を選ぶか、別の印刷方法を選択するかで対応してください。

    まとめ

    熱転写の種類と特徴、メリットやデメリットを解説しました。

    熱転写に対応するラベル素材を選ぶときは、粘着ラベル向けのユポタック原紙がおすすめです。主に、溶融型の熱転写が可能です。
    屋外の作業現場といったハードな環境では、定着性の強い熱転写ラベルを使用しましょう。そのときは、インキの定着性を向上させたユポタックSGPをぜひご利用ください。

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    この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション

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