バイオマスとは?3つの種類と4つの特徴・活用する方法を解説
昨今、再生可能エネルギーとしてバイオマスへの注目が高まっています。バイオマスとは、動植物から生まれた再生可能な生物資源のことです。この記事では、バイオマスとは何か、特徴や利用方法、課題などについて解説します。バイオマスに関して知識を深めたい人は、ぜひ役立ててください。

バイオマスとは
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を意味し、「再生可能な、動植物由来の資源で化石資源を除いたもの」のことです。太陽エネルギーを利用して、水と二酸化炭素から生物が光合成で生成する有機物などで、現在注目が集まっている資源の1つです。木材、海草、紙、生ゴミ、プランクトン、動物の死骸・ふん尿など、生物由来の資源を指します。
バイオマス資源として活用が期待されているのは主に3種類
バイオマスは、大きく3つに分けられます。ここでは、バイオマス資源として活用が期待されている、3つの種類について解説します。
廃棄物系バイオマス
廃棄物系バイオマスとは、廃棄物として発生するバイオマスのことです。廃棄物として発生しているものをバイオマスとして利用することで、ゴミの削減になります。また、廃棄するときに発生する二酸化炭素の削減にもつなげられます。
以下、廃棄物系バイオマスの例です。
・畜産資源 (家畜排泄物など)
・食品資源 (生ゴミ、加工残渣、動植物性残渣など)
・工業資源 (パルプ工場廃液など)
・林業資源 (製材工場残材、建築廃材など)
・下水汚泥
未利用バイオマス
未利用バイオマスとは、資源として利用されずに廃棄されているものを指します。未利用バイオマスは、収集や運搬、管理などに手間がかかる点がデメリットです。そのため、廃棄物系バイオマスと比較すると、いまだ利用率が低い状況にあります。
以下、未利用バイオマスの例です。
・林産資源(林地残材)
・農産資源(稲わら、麦わら、もみ殻など)
資源作物
資源作物とは、資源として活用することを目的に栽培された作物です。廃棄物系バイオマスや未利用バイオマスのように、肥料や燃料としての利用だけでなく、プラスチックの原料としても利用されることもあります。
以下、資源作物の例です。
・糖質資源(さとうきび、てんさいなど)
・でんぷん資源(米、とうもろこし、いも類など)
・油脂資源(大豆、なたね、落花生など)
バイオマスの4つの特徴
バイオマスの特徴は、大きく分けて4つです。ここでは、バイオマスの代表的な4つの特徴について解説します。
カーボンニュートラルである
バイオマスの大きな特徴は、カーボンニュートラルである点です。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡している状態を意味します。例えば、廃木材を焼却して二酸化炭素が発生しても、その木が成長する過程で二酸化炭素を吸収しているため、そのぶんの二酸化炭素の排出は相殺されることになります。
再生可能な資源である
再生可能な資源である点も、バイオマスの特徴です。植物は毎年育つものであるため、生命のサイクルがある限り作り続けることができます。そのため、化石燃料と異なり、再生可能であるといえるでしょう。
広く薄く存在する
バイオマスは、広く薄く存在します。さまざまな場所に少しずつ存在するため、集めるために手間とコストがかかることが特徴です。例えば、家畜の糞尿は畜舎で発生し、食品廃棄物は家庭や工場で、稲わらは田畑で発生するように、異なる場所でそれぞれの廃棄物が生成されています。
地域活性化に役立つ
バイオマスには、森林の間伐材や家畜の排泄物などが利用されます。バイオマス資源となる間伐材・家畜の排泄物などの資源の多くは、地域の農村や漁村に存在しているためです。そのため、間伐材・家畜の排泄物などをエネルギーとして活用できれば、地域活性化につなげられるでしょう。
バイオマスを活用する方法
バイオマスを活用する方法は、マテリアル利用とエネルギー利用の2つに分けられます。マテリアル利用とは、バイオマスを原材料として利用することです。主に飼料や堆肥、炭、プラスチック原料、インキ原料、建築材などの製造に利用されます。
一方で、エネルギー利用は、ガスや液体燃料化し、エネルギー源として利用する点が特徴です。主にバイオマスを、バイオマスエタノールやバイオディーゼル、メタンガス、木質固形燃料などに変換します。
バイオマス利用の具体例
バイオマスの利用方法は多岐にわたります。ここでは、バイオマス利用の具体例を紹介します。
バイオマス発電をする
バイオマスは、バイオマス発電に利用できます。バイオマス発電は、バイオマス燃料を燃やし、発生した蒸気でタービンを回すことによって行われる火力発電の一種です。太陽光発電や風力発電と異なり、天候に左右されないメリットがあります。ただし、バイオマス発電はカーボンニュートラルの性質を持つため、大気中の二酸化炭素の増加を化石燃料による火力発電と比べ抑えることができます。
バイオガスにする
バイオガスにするのも、バイオマスの利用方法の1つです。バイオガスとは、家畜の排泄物や食品残しなどをメタン発酵させて製造する気体燃料のことです。主にガスタービン、ボイラー、燃料電池などに利用され、バイオマス発電の1つともいえます。
バイオマス資源を肥料にする
バイオマス資源を肥料にする方法も、バイオマスの利用方法として挙げられます。生ゴミなどを利用して肥料を作ることは、土壌を改善にする方法として、昔から農業分野で利用されてきました。バイオマスをエネルギー化せずに原料として利用するため、マテリアル利用の1つでもあります。
バイオマスプラスチックにする
バイオマスプラスチックも、バイオマスの代表的な利用方法の1つです。バイオマスプラスチックとは、植物由来の原料を使用して作られるプラスチックを指します。例えば、トウモロコシやサトウキビなども、原料の一部です。バイオマスプラスチックは、レジ袋や衣類、自動車のシートなど、身近なものにも広く利用されています。
バイオマスの課題
バイオマスの資源は広く薄く存在しているため、効率的な収集や幅広い用途への活用など、経済性を向上させることが課題です。バイオマスは、バイオマス発電に代表されるように小規模分散型設備になりやすく、収集や運搬、管理のコストがかかります。また、燃料コストが約7割を占め、発電コストが高いことから、新規参入を検討する企業が懸念を抱きやすいことが現状です。
まとめ
昨今、再生可能エネルギーとしてバイオマスが注目されています。バイオマスとは、動植物由来の再生可能な生物資源のことを指します。バイオマス発電やバイオガス、バイオプラスチック、バイオマス資源を肥料にするなど、さまざまな活用方法があります。
株式会社ユポ・コーポレーションでは、持続可能な開発目標(SDGs)を支援しており、環境に配慮した製品の開発に取り組んでいます。ユポグリーンシリーズは、二酸化炭素の削減に貢献するバイオマス由来の樹脂原料を使用した製品です。バイオマスを活用した製品に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
※「ユポ」「ユポグリーン」は、株式会社ユポ・コーポレーションの登録商標です。
この記事を書いた人株式会社ユポ・コーポレーション
地球と人を大切にしていきたい。
当社はこれからも環境保全や環境負荷の削減を使命として社会に貢献していきます。